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2021.10.4
縄文から印象派、「美男」まで!10月のおすすめ展覧会5選
いよいよ芸術の秋到来! 秋から冬へのシーズンに向けてさまざまな展覧会が開幕します。そこで東京都内と近郊の5つのおすすめ展覧会をピックアップしてみました。
目次
「巴水イヤー」のラストを飾る。SOMPO美術館の『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』展
大正から昭和にかけて活躍した新版画家、川瀬巴水(かわせ はすい)。すでに今年の春から夏にかけ、平塚市美術館や大田区立郷土博物館などにて回顧展が開かれてきましたが、そうした「巴水イヤー」のラストを飾ろうとする展覧会が、東京・新宿のSOMPO美術館にてスタートしました。
『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』では、巴水が生涯に残した600点を越える木版画の中から厳選した約280点を展示。会期中、前期(10月2日〜11月14日)と後期(11月17日〜12月26日)にて一部の作品を入れ替えて紹介します。
展覧会では、巴水がふるさとの東京や日本全国を旅して描いた連作を可能な限り丸ごと展示。『東京十二題』や『旅みやげ第一集』、それに『東海道風景選集』といった代表作も公開され、巴水とともに日本全国を旅するように作品を鑑賞することができます。この他には木版画の元になった写生帖や版木、さらに巴水を愛したことで知られるアップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズのコレクションした作品を紹介するコーナーも見どころとなりそうです。
『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』 SOMPO美術館
開催期間:2021年10月2日(土)〜12月26日(日)
所在地:東京都新宿区西新宿1-26-1
アクセス:JR線新宿駅西口から徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線新宿駅から徒歩5分
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は開館)、11月16日(火)。
観覧料:一般1300(1500)円、大学生1000(1100)、高校生以下無料。
※オンラインチケット料金。()内は当日窓口チケット料金
https://www.sompo-museum.org
「縄文のムラ」再現模型も!『縄文2021―東京に生きた縄文人―』で縄文の暮らしを学ぼう
1万年以上にわたって長く続いた縄文時代。2021年7月、北海道や青森県などの17の遺跡群が『北海道・北東北の縄文遺跡群』として、ユネスコの世界文化遺産に登録されたことでも注目を集めました。そうした縄文時代の東京の人々にスポットを当てた展覧会が、江戸東京博物館にて開催されます。
『縄文2021―東京に生きた縄文人―』にて展示されるのは、おもに東京都内で出土した土偶をはじめ、石槍や土器といった縄文人の姿を伝える考古資料です。土偶に至っては100点以上も出展。「縄文のビーナス」と呼ばれる長野県茅野市の国宝の『土偶』もあわせて公開されます。
特に注目したいのは、多摩ニュータウンに出土した縄文時代中期の環状集落が模型にて再現されることです。江戸東京博物館といえば、5階と6階の常設展示室でも江戸や東京の街並みが一部に再現されていますが、1階の特別展示室でも「縄文のムラ」が登場します。見比べるのも楽しいのではないでしょうか?
なお東京という地域に限って縄文時代を考える大規模な展覧会は、1986年に銀座ソニービルで開かれた『第2回 東京の遺跡展』以来、実に35年ぶりのことです。考古ファンも必見の展示となりそうです。
『縄文2021―東京に生きた縄文人―』 江戸東京博物館
開催期間:2021年10月9日(土)~12月5日(日)
所在地:東京都墨田区横網1-4-1
アクセス:JR線両国駅西口より徒歩3分。都営大江戸線両国駅A3・A4出口より徒歩1分
開館時間:9:30〜17:30(入場は17:00まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般1300円、大学・専門学校生1040円、高校・中学・小学生650円
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp
作品の大半は日本初公開。イスラエルからやってくる珠玉の印象派コレクション
約50万点の文化財を所蔵するエルサレムのイスラエル博物館には、数多くの文化財とともに、約2500点の印象派やポスト印象派の作品が収集されてきました。
そのイスラエル博物館の印象派・ポスト印象派の作品を紹介するのが『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』で、「水とその反映」、「自然、そして人のいる風景」、「近代都市を描きだす」、「日常の瞬間へのまなざし」の4つのテーマのもと、約70点の作品が公開されます。そのうち大半は日本初公開というから絵画ファンには待望の展覧会かもしれません。
なお三菱一号館美術館では、鑑賞の新たな試みとして、会期中に『トークフリーデー』を設定。声の大きさを気にせずに会話を楽しんだり、小さなお子さんを連れながらゆっくりと鑑賞することができます。開催日は12月27日と少し先ですが、「美術館は少し堅苦しく感じるかも…」というような方にもおすすめのイベントです。
『イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜 ― モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン』 三菱一号館美術館
開催期間:2021年10月15日(金)~2022年1月16日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内2-6-2
アクセス:東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分。JR線東京駅丸の内南口・JR線有楽町駅国際フォーラム口から徒歩5分
開館時間:10:00〜18:00
※祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日と年末年始(12月31日〜1月1日)
※但し10月25日、11月29日、12月27日(トークフリーデー)と1月3日・1月10日は開館
観覧料:一般1900円、大学・高校生1000円、中学生以下無料
https://mimt.jp
浮世絵から現代美術、それに漫画における「美男」の表現とは?『美男におわす』展
江戸時代の浮世絵や近代絵画において人気を集める日本の「美人画」。そこに描かれる対象のほとんどは女性であり、いわゆる「美男画」と言った呼称で括られることはありませんでした。
どうして「美男画」というカテゴリーが存在しないのだろう? そうした問題意識から出発したのが、埼玉県立近代美術館で行われている『美男におわす』です。ここでは江戸から現代へといたる日本の美少年、美青年のイメージを約190点の作品から紹介。浮世絵や日本画、現代美術はもとより、いわゆるサブカルとされる漫画やアニメといった多様なジャンルの作品が展示されています。「あなたにとっての美男とは?」や「人々が理想とした男性とは?」などの多くの問いが投げかけられている内容です。
展覧会は「美少女の美術史」(2014〜2015年。全国3会場を巡回)を開催した島根県立石見美術館との共同企画。実に3年かけて準備されました。そして9月23日に開幕すると、初日から通常より多くの方が来場したそうです。ひょっとするとこの秋、静かな「美男」ブームを呼ぶ展覧会になるかもしれません。
『美男におわす』 埼玉県立近代美術館
開催期間:2021年9月23日(木・祝)~11月3日(水・祝)
所在地:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
アクセス:JR線北浦和駅西口より徒歩3分(北浦和公園内)
開館時間:10:00〜17:30(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日
観覧料:一般1200円、大学・高校生960円、中学生以下無料
https://pref.spec.ed.jp/momas/
日本美術とのコラボも見どころ。常識を覆す現代美術家・福田美蘭の大規模個展
国内外で活躍する現代美術家、福田美蘭(ふくだ みらん)を知っていますか? 最年少で画壇の芥川賞と呼ばれる安井賞を受賞。絵画の新たな可能性を切り拓くべく制作する福田は、日本美術をもとにイメージを広げた作品を多く発表し、高く評価されてきました。
その福田が千葉市美術館のコレクションから江戸~明治時代の美術品を選定。新たに創作した作品などを公開するのが『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』で、国内での大規模な個展としては2013年の東京都美術館以来となります。だまし絵や描き表装、3D画像といった視覚を揺さぶるトリックを用いた作品も注目となりそうです。
1995年に開館した千葉市美術館は、千葉ゆかりの作品とともに浮世絵を中心とした江戸絵画のコレクションにて定評があり、多くのファンを抱えてきました。そして2020年には常設展示室や子どもアトリエを新設するなどしてリニューアルオープン。以前にも増して興味深い展覧会を開催しています。ぜひお出かけください。
『福田美蘭展 千葉市美コレクション遊覧』 千葉市美術館
開催期間:2021年10月2日(土)~12月19日(日)
所在地:千葉県千葉市中央区中央3-10-8
アクセス:千葉都市モノレール葭川公園駅下車徒歩5分。京成千葉中央駅東口より徒歩約10分。JR線千葉駅東口より徒歩約15分。またはJR線千葉駅東口より京成バス(バスのりば7)から大学病院行または南矢作行にて「中央3丁目」または「大和橋」下車、徒歩約3分
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
※金・土曜日は20:00まで開館
休館日:10月4日(月)、11日(月)、11月1日(月)、15日(月)、12月6日(月)
観覧料:一般1200円、大学生560円、高校生以下無料
※10月18日(月)は「市民の日」につき観覧無料
※ナイトミュージアム割引:金・土曜日の18:00以降は半額
https://www.ccma-net.jp
※新型コロナウイルス感染症の状況等により、各展覧会の会期や時間の変更、また事前予約など入場の方法が変わる可能性があります。最新の状況は各館のウェブサイト、公式Twitterアカウントなどでご確認ください。
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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