EVENT
2022.2.17
和歌の雅の世界を目で見る『絵でみる百人一首と枕草子』
百人一首といえば、『ちはやふる』を連想する方が多いのではないでしょうか? 競技かるたに青春を懸ける少年少女を描いた漫画です。広瀬すずさん主演で実写化されましたし、アニメもまた人気がありますね。
百人一首や和歌をテーマにした作品は、『ちはやふる』だけではありません。私たちが生まれるより遙か昔から、日本の名画に描かれてきました。
京都の嵯峨嵐山文華館で開幕した『絵でみる百人一首と枕草子』では、百人一首や和歌にちなんだ作品や、枕草子を想起させるような日本画が展示されていました。和歌の雅な世界を、目で見て感じられる展覧会です。見どころを美術ライターの明菜が紹介していきます。
百人一首・和歌にちなんだ作品
本展は大きく分けて2章の構成。第一章では『殿上人たちの感性に触れる』と題し、日本画を中心に百人一首と和歌にちなんだ作品が展示されます。今は昔となった和歌の世界が、絵画を通して立体的に広がり、タイムスリップしたかのように感じる内容でした。
伊藤小坡「草紙洗小町之図」(部分)20世紀 福田美術館蔵(通期)
伊藤小坡「草紙洗小町之図」には、絶世の美女とされた女流歌人、小野小町が描かれています。凛とした表情や手と指の上品な仕草に目を奪われる本作は、落ち着いたブルーの着物の印象も相まって、小町の気高さを感じさせます。
下村観山「時雨庵」に描かれるのは、筆を手に思索するような藤原定家。定家が小倉百人一首を完成させたのが、まさに時雨亭でのこと。絵に描かれたのは、歌を選んでいる場面かもしれませんね。
本作には雨上がりの虹が描かれています。定家が詠んだ歌には虹を題材にしたものがあるらしく、下村観山はその歌をイメージしていたのかもしれません。
清少納言の美意識と日本画
第二章は『「枕草子」を想起させる日本画』と題し、「枕草子」と日本画の題材の関連性を探ります。清少納言は枕草子で、「春はあけぼの」「小さきものは、みなうつくし」など、自らの感性に合うものを歌い上げました。展覧会には、明確に枕草子をテーマにした絵もそうでない絵もありますが、関連性がうかがえる作品が並んでいます。
入江波光「青梅に仔雀」大正15年(1926)福田美術館蔵(通期)
入江波光「青梅に仔雀」は、枕草子の一部分「うつくしきもの。(中略)雀の子の、鼠鳴きするに踊り来る。」にぴったりの作品です。現代人も愛らしさにキュンキュンしますし、平安時代の美意識が今も脈々と受け継がれているのかもしれません。
第二章の展示は、枕草子を読み札に、学芸員が所蔵作品のなかから絵札を探した展示、とも言えるのではないでしょうか。雅なかるた遊びを見て楽しむことができました。
【まとめ】和歌の世界を楽しむ美術館
嵯峨嵐山文華館は、藤原定家が百人一首を完成させた地に立つ美術館。百人一首の聖地と呼べる美術館です。この場所で百人一首が生まれ、現代まで受け継がれてきたと思うと、歴史のロマンを感じてゾクゾクします。
同館では、小倉百人一首競技かるた「第三回ちはやふる小倉山杯」が2022年4月10日に開催されます。競技かるたを生で見られる貴重な機会なので、こちらも要チェックです。観覧席の申し込みは2月21日から受付が始まります。
展覧会情報
『絵でみる百人一首と枕草子』
会場:嵯峨嵐山文華館
会期:2022年1月29日(土)~4月9日(土)
◎前期:1月29日(土)~3月7日(月)
◎後期:3月9日(水)~4月9日(土)
休館日:毎週火曜日(祝日の場合は翌日)
公式ウェブサイト:https://www.samac.jp/
会場から徒歩3分ほどの距離にある福田美術館では、寅年にちなんだ展覧会『トラ時々ネコ 干支セトラ』が開催中。あわせて鑑賞してみてはいかがでしょうか。レポートは以下のURLよりご覧ください。
関連記事:幻の生き物「トラ」を求めて。寅年に見たい『トラ時々ネコ 干支セトラ』
https://irohani.art/event/6637/
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美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
美術ブロガー/ライター。美術ブログ「アートの定理」をはじめ、各種メディアで美術館巡りの楽しさを発信している。西洋美術、日本美術、現代アート、建築や装飾など、多岐にわたるジャンルを紹介。人よりも猫やスズメなど動物に好かれる体質のため、可愛い動物の写真や動画もSNSで発信している。
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