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2023.8.9

妖艶な作品ばかり?クリムトの人生と作品の特徴・見どころ紹介

クリムトは、19世紀オーストリア帝国を代表する芸術家として知られます。彼の独特な世界観は現在でも世界中の人に愛され、のちの芸術界にも大きな影響を与えました。

クリムト『接吻』, Public domain, via Wikimedia Commons

クリムトの作品のテーマは性的な内容を含むことも多く、芸術界では波紋を生むことがしばしばあります。豊かな装飾と過激な表現は、彼の芸術の根幹をなす要素でした。この記事では、クリムトの人生と、作品の特徴、見どころをわかりやすく解説します!

論争を起こした?クリムトの人生

クリムト『ダナエ』, Public domain, via Wikimedia Commons

彫版師の父のもとにウィーンで生まれたグスタフ・クリムト(1862-1918年)は、14歳のときに工芸学校に入学しました。学校ではデッサンや模写を中心とした伝統的な芸術教育を受けます。卒業後は兄弟とともに劇場や美術館などの装飾を受注する芸術家商会を立ち上げ、ウィーン芸術界での評価を高めていきました。

1894年にはウィーン大学の天井画を制作しますが、この作品は依頼者の意図に反していたため、大きな論争が起こりました。理性的な知性の勝利を作品に期待していた大学側が、完成した作品が官能的で肉体的な表現を含んでいることに大きく反発したためです。

クリムト『哲学』『医学』『法学』, ウィーン大学(焼失), Public domain, via Wikimedia Commons

依頼された3部作『哲学』『医学』『法学』の絵は、第二次世界大戦の際に焼失しています。クリムトは論争ののち、契約を破棄して受け取った報酬を大学に返却しましたが、長期間にわたる批判にめげずに自身の思想を主張し続けていました。

1897年には、伝統的な美術からの分離を目的とした若手芸術家により「ウィーン分離派」と呼ばれるグループが結成され、クリムトは初代会長になっています。分離派への参加からもわかるように、クリムトは伝統的で形式的な芸術ではなく、独自の表現を追求した芸術家でした。

クリムト作品の特徴とは?

クリムト『死と生』, Public domain, via Wikimedia Commons

クリムト作品は、官能的で肉体的なテーマを扱っている点が特徴です。当時の芸術界おいては衝撃的な作品も多く、クリムトが批判される理由の1つでした。

実はクリムトは、多くの愛人がいたことで有名です。クリムトは多くの裸婦モデルと愛人関係にありましたが、生涯結婚はしませんでした。多くの女性が彼の家に寝泊まりする環境で生活していた時期もあったと言われています。

クリムト作品の多くは、おそらくそんな彼の生活も影響し、甘美な雰囲気が感じられます。しかし一方で、女性には不思議と精気がない側面もあり、そこはかとなく「死」を感じさせると形容されることもあります。

人によっては、見れば見るほど、ゾクゾクするような怖さを感じるかもしれません。作品鑑賞の際は、妖艶な主題に隠されたクリムトの奥深い人体表現に注目してくださいね。

クリムト作品の見どころは「装飾性」

クリムト『ユディトI』, Public domain, via Wikimedia Commons

クリムト作品の見どころは、絵画の装飾的な構造です。劇場装飾の仕事から芸術界に名をとどろかせたクリムトは、絵画作品においても豪華な装飾表現を応用しました。

金を潤沢に使用するクリムトの作風は、彫版師で金細工を扱っていた父の影響もあったのかもしれません。作品では、平坦な模様の中に細かい色調や形状の変化を付けることで、豊かで生き生きした装飾を作り出しています。

クリムト『処女』, Public domain, via Wikimedia Commons

クリムトはイタリアのラヴェンナを訪れ、そこで目にしたモザイク画からインスピレーションを受けたとも言われます。モザイクの絶妙に不揃いなパーツが生み出す豪華で活発な雰囲気は、クリムト作品の自由な模様装飾に通ずるところがありますね。

参考:ガッラ・プラキディア廟堂のモザイク, ラヴェンナ(イタリア), Public domain, via Wikimedia Commons

クリムトの作品を鑑賞する際は、ぜひ人物以外の装飾部分にも目を向けてみてください。以上、クリムトの人生と作品の特徴、見どころ紹介でした!

【写真7枚】妖艶な作品ばかり?クリムトの人生と作品の特徴・見どころ紹介 を詳しく見る
はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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