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STUDY

2025.1.1

東洲斎写楽とは?歌舞伎の役者絵の代表作も解説!

謎に包まれた天才浮世絵師、東洲斎写楽。わずか10ヶ月という短い期間に、その鮮烈な役者絵で江戸を席巻し、今もなお人々を魅了し続けています。

本記事では、そんな写楽の活躍した時代や代表作をご紹介します。

東洲斎写楽《二代目沢村淀五郎の川つら法眼と坂東善次の鬼佐渡坊》, 出典:キヤノン クリエイティブパーク.

東洲斎写楽とは

東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)は、江戸時代後期の浮世絵師です。その短い活動期間にもかかわらず、独特の役者絵で大きなインパクトを与えています。

東洲斎写楽が活躍した時代

東洲斎写楽《谷村虎蔵の鷲塚八平次》, 出典:キヤノン クリエイティブパーク.

東洲斎写楽が活躍した時代には江戸で町人文化が花開き、さまざまな娯楽が流行しました。

化政文化が栄える

写楽が活躍した寛政年間は、化政文化が栄えた時代です。浮世絵、文学、芸能など、さまざま分野で優れた作品が生まれ、現代の日本文化にも大きな影響を与えています。

歌舞伎の流行

江戸時代の町人の間で、歌舞伎は人気のある娯楽でした。「仮名手本忠臣蔵」のように忠義や義理堅さをテーマにした作品、町人の生活や恋愛を題材にした世話物など、多彩な作品が生まれています。

また、人気の役者には熱狂的なファンがおり、衣装や髪型などが流行しました。そのような中で、役者を描いた浮世絵である役者絵も盛んに制作されるようになったのです。

東洲斎写楽の謎に迫る!その正体は?

写楽は寛政6年(1794年)から翌年のわずか10ヶ月間という短い期間に、役者絵や相撲絵など145点もの作品を発表しましたが、その後忽然と姿を消しました。

その生涯については未だ多くの謎が残されており、正体についても諸説が唱えられています。

東洲斎写楽の浮世絵の代表作は?

写楽の代表作は、ほとんどが歌舞伎役者の肖像画である役者絵です。

その特徴は、顔を大きく描き、役者の個性や表情を強調した大首絵であることです。役者の顔をデフォルメし、その特徴を際立たせる画風は、当時の浮世絵界に大きな衝撃を与えました。

以下では、特に有名な作品を2つご紹介します。

市川鰕蔵の竹村定之進

東洲斎写楽《市川鰕蔵の竹村定之進》, 出典:キヤノン クリエイティブパーク.

歌舞伎役者の肖像画の中でも、5代目市川團十郎が襲名した市川鰕蔵(えびぞう)を題材にした作品は、写楽の代表作の一つとして知られています。

描かれたのは、寛政6年(1794年)5月に河原崎座で上演された「恋女房染分手綱」の一場面です。この演目の前半の山場である「道成寺」の主役、能師役の竹村定之進を演じたのが、当代随一の役者と謳われた市川鰕蔵でした。

三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛

東洲斎写楽《三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛》, 出典:キヤノン クリエイティブパーク.

同じく「恋女房染分手綱」の中で、三代目大谷鬼次が演じた「江戸兵衛」を描いたものです。

江戸兵衛は、歌舞伎の悪役として知られる人物です。写楽は、鋭い眼光、突き出た顎、力強い腕など悪役としての特徴を強調し、その強烈な個性を際立たせています。

大河ドラマにも登場!

2025年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」では、江戸時代の出版王・蔦屋重三郎が主人公となり、彼がいかに東洲斎写楽を発掘し、世に送り出したかが描かれます。

東洲斎写楽役は現時点では未発表です(2024年11月時点)。しかし、公式リリースにもある〈決して奪われない壮大なエンターテインメント「写楽」を仕掛ける〉〈日本史史上最大の謎のひとつ“東洲斎写楽”〉といった表現から、写楽は物語の重要な鍵を握っていそうです。

2025年1月5日(日)の午後8:00から放送開始予定です。

参照:大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」

東洲斎写楽をもっと知りたくなる!

東洲斎写楽はその短い生涯にもかかわらず、革新的な役者絵を生み出し、浮世絵史に大きな影響を与えました。写楽の作品に触れながら、江戸時代の文化や人々の暮らしを理解すると、美術鑑賞がもっと楽しくなるはずです。

写楽の作品は、さまざまな美術館・博物館やデジタルアーカイブで見ることができます。この機会にぜひ、東洲斎写楽について学んでみましょう。

【写真4枚】東洲斎写楽とは?歌舞伎の役者絵の代表作も解説! を詳しく見る
さつま瑠璃

さつま瑠璃

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文筆家(ライター)。芸術文化を専門に取材執筆を行い、アートと社会について探究する書き手。SNSでも情報を発信する他、さつまがゆく Official Podcastでは取材執筆にまつわるトークを配信中。

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