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2023.2.9
現代まで続く竹久夢二ブームのきっかけとなった龍星閣旧蔵コレクション展が開催中!
「夢二式美人画」で知られる大正に活躍した画家、イラストレーター、詩人の竹久夢二の展覧会「龍星閣がつないだ夢二の心~「出版屋」から生まれた夢二ブームの原点」が日比谷公園の一角にある千代田区立日比谷図書文化館で2023年2月28日まで開催されています。
目次
大正ロマンの代名詞とも言える竹久夢二も、晩年から亡くなった後にかけて生前のスキャンダルも手伝い世間から忘れ去られてしまう存在になっていました。そんな夢二に目をつけたのは、龍星閣という小さな出版社でした。同社の創始者である澤田伊四郎は、精力的に夢二の作品や資料を収集し、夢二の画集を世に送り出し、今に続く竹久夢二ブームの立役者となります。
龍星閣が収集した資料や絵画などの竹久夢二コレクションは、2015年に千代田区に寄贈され、2018年には東京ステーションギャラリーでも同コレクションの大規模な展覧会が行われ人気を集めました。2022年には、千代田区指定文化財となります。今回は、コンパクトな会場ながら、龍星閣の資料と寄贈された龍星閣旧蔵竹久夢二コレクションと合わせて129点(後期)でしっかりと夢二の略歴、画業を振り返ることができる展覧会となっています。会場では、冒頭に澤田伊四郎の業績なども紹介されていましたが、本記事では、夢二の略歴、画業を紹介していきます。
夢二略歴と龍星閣が夢二作品を刊行するまで
※のみ龍星閣のできごと
明治17年 夢二、岡山県邑久郡本庄村に生まれる
明治34年(17歳)家出をして上京する
明治36年(19歳)最初期の肉筆作品
明治37年 ※龍星閣の創始者・澤田伊四郎が生まれる
明治40年(23歳)岸たまきとの結婚
明治42年(25歳)たまきと協議離婚
大正元年(28歳)初めての展覧会
大正3年(30歳)港屋絵草紙店開店/笠井彦乃と出会う
大正5年(32歳)セノオ楽譜シリーズ表紙絵がはじまる
大正6年(33歳)笠井彦乃との暮らし
大正7年(34歳)「宵待草」がセノオ楽譜として発売され、大流行
大正8年(35歳)彦乃へあてた「山へよする」刊行/お葉と出会う
大正9年(36歳)彦乃没(23歳)
大正12年(39歳)震災をスケッチする
昭和元年(42歳)お葉、夢二の元を去る
昭和2年(43歳)「都新聞」に自伝絵画小説「出帆」を連載
昭和6年(47歳)初めての外遊
昭和8年 ※龍星閣として初めての富安風生の処女句集「草の花」を刊行
昭和9年(49歳)夢二永眠
昭和16年 ※龍星閣が高村光太郎「智恵子抄」を刊行
昭和29年 ※龍星閣が竹久夢二の画集本「夢二画譜」を刊行
竹久夢二の画業の振り返り
たまきがモデルになった「夢二式美人」
主に女性像が描かれた日本画。妻だったたまきがモデルの細身で瞳が大きい女性像。憂いを帯びたり、儚げな表情が淡い色彩で、少ないタッチながら、表情豊かに描かれています。この女性たちは「夢二式美人」として竹久夢二の代名詞にもなりました。
女性に絶大な支持を受けた婦人グラフ
大正から昭和にかけて4年間発刊された女性向け高級グラビア雑誌。夢二もこの雑誌の表紙絵や挿絵などを担当、誌面のモダンなファッションの女性は当時の女性から絶大な支持を受けてました。夢二は、時代の流行を先取りする為に海外の雑誌などを参考にしていたとも。
夢二の半生を描いた自叙的小説「出帆」
夢二の半生を描いた自叙的小説。昭和2年5月から9月まで「都新聞」に連載されました。挿絵はもちろん文章も夢二本人が執筆。挿絵には女性像や各地の風景が描かれていて、半生を振り返るには欠かせない女性たち、彼女らと見た風景が反映されたとも言われています。
夢二の人気で大繁盛した港屋絵草紙店
当時、離婚したたまきが自活できるように夢二が日本橋呉服町に出店した「港屋絵草紙店」。夢二がデザインした版画、千代紙、便せん、封筒、風呂敷、絵本などの生活雑貨を販売。当時の夢二人気にあやかって、店は大繁盛しますが、夢二が多忙でデザインが追いつかないため、2年後には閉店。
当時はやった装飾が凝った楽譜「セノオ楽器」
大正期の装飾が凝った楽譜の代表格だった「セノオ楽譜」。夢二はこの表紙デザインも担当。内容は和洋の夢二らしい美人から、少年少女、物語的、装飾的、抽象的なものまで多様なデザインでした。夢二は200以上の表紙を手掛け、大きな脚光を浴びました。
ブックデザイナーとしてのセンスを発揮
書籍の表紙、見返し、口絵など、総合的にデザインする装幀において、西洋美術を取り入れたモダニズムや、アールヌーヴォー、日本の浮世絵などをアレンジした幅広い画風でブックデザイナー・竹久夢二は100人以上の作家の300冊に及ぶ書籍の装幀を手がけることになります。
さいごに
最後までお読みいただきありがとうございます。いまでこそデザイナーと言われる職業が存在していますが、100年前は当たり前ではなく、日常生活に芸術的なデザインを取り入れていったのが夢二でした。そういう夢二の作品を埋もれさせることなく、現代にまで竹久夢二という名前を残した龍星閣の澤田伊四郎の商業的センスにも感謝です。今回は入館料が無料で、このボリュームを見られるのはかなりお得ですし、ぜひ脚をお運びいだければと思います。
展覧会情報
令和4年度文化財企画展「龍星閣がつないだ夢二の心~「出版屋」から生まれた夢二ブームの原点」
会場:千代田区立日比谷図書文化館 1階 特別展示室
開催期間:2023年1月7日(土)~2月28日(火)
前期:1月7日(土)~1月29日(日)
後期:1月30日(月)~2月28日(火)
(注意)前後期で出品作の一部を展示替え
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-4
アクセス:
・都営三田線内幸町駅「A7出口」より徒歩約3分
・東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・千代田線霞ヶ関駅「C4出口」より徒歩約5分
・東京メトロ千代田線・日比谷線日比谷駅「A14出口」より徒歩約7分
・JR新橋駅「日比谷口」より徒歩約12分
開館時間:
月曜日~木曜日・土曜日:10:00~19:00
金曜日:10:00~20:00
日曜・祝日:10:00~17:00
休館日:1月16日(月)、2月20日(月)
入場料:無料
特設サイト:
https://www.edo-chiyoda.jp/tenji_koza_kodomotaikenkyoshitsu/tenji/1/511.html
画像ギャラリー
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東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。
東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。
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