Facebook Twitter Instagram

EVENT

2024.1.26

1930-1940年代の日本にタイムスリップ!「版画の青春 小野忠重と版画運動」 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―

町田市立国際版画美術館にて、「版画の青春 小野忠重と版画運動」―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち―を2024年3月16日(土)より開催いたします。

1930-40年代に版画に青春を捧げ、活動していた若者たち。

そのリーダーであった小野忠重の旧蔵品を中心とした約300点の創作版画を展示します。この記事では本展の見どころを紹介します。

第一部:新版画集団 ―「版画の大衆化」を掲げて

第一部では、小野忠重らが立ち上げた新版画集団の概要を解説します。

第Ⅰ章: 1932年 ―「新版画集団」結成

小野忠重《ジャズを廻る人々》1934、木版、町田市立国際版画美術館蔵

1932年4月 、「版画の大衆化」を掲げ、版画が一般の人々に広く受け入れられるよう活動するため、「新版画集団」が結成されます。メンバーは藤牧義夫、武藤六郎、小野忠重、柴秀夫、吉田正三ら20代前半の若者をはじめとした22名で、彼らは多くの人々が鑑賞できる方法で作品を発表することも訴えました。

これらは小野が一時期加入していたプロレタリア美術家同盟の目標である美術の大衆化や、労働者や農民が集まる場所で展覧会を開催する活動方針にならったものでした。

第Ⅱ章 1933-36年 ― 版画運動の進展と解散

藤牧義夫《つき(『新版画』12号)》1934、木版、神奈川県立近代美術館蔵

新版画集団は「版画の大衆化」に向け、以下の活動を通じて、版画運動を進展させました。
・ 機関誌『新版画』の発行
・ 年1、2回の展覧会を開催
・ 研究会や作品批評会の実施
・ 版画集発行
・ 定例展を徳島市、岐阜市、旧満州の奉天などにも巡回
・ ユニークな問題意識を反映した展覧会を実施
後にグループは、現代版画には絵画的充実が必要だと実感し、1936年12月に一旦解散します。

第二部:造型版画協会(戦前を中心に) ― 絵画的充実を目指して

第二部では、版画のさらなる発展を目指し、試行錯誤していく道のりを紹介します。

第Ⅰ章 1937年 ―「造型版画協会」結成時のメンバーと戦前の作品

清水正博《酒場》1933、木版、和歌山県立近代美術館蔵

1937年3月、新版画集団のメンバーであった小野忠重、末木(荒井)東留、清水正博、柴秀夫、水船六洲の5名が造型版画協会を結成します。

その後、矢田卿二(桂一)と曽我尾武治が加わり、第1回展を開催します。協会の目標は、版画もまた「絵画」であるとし、マチエールなど造形性の充実や作品の大型化を重視しながら版画の独自性を追求することにより、結果的に版画への大衆の関心を拡充してゆくことでした。

第Ⅱ章 1938-43年 ― 戦時下での活動 新たな会員と公募出品者

斎藤清《化粧》1940、木版、個人蔵

戦時下での活動は厳しく、制作や発表が抑圧されながらも、作品を通じて版画の絵画的充実を模索し、困難を乗り超えて毎年展覧会も開催しました。このなかには戦後活躍する斎藤清や北岡文雄も若手として参加していました。

1937年5月の第1回展は会員の作品のみで開催されましたが、翌1938年4月の第2回展以降は公募形式で開催されました。1943年4月の第7回展まで開催したのち、戦争の激化にともない活動を停止します。

第Ⅲ章 戦後、あらたな時代へ 運動の継続と表現の模索

畑野織蔵《緑の風景》1949、木版、小野忠重版画館蔵

造型版画協会は1949年12月に戦後初めてとなる展覧会を開催して、活動を再開させます。

1954年の第12回展まで東京でほぼ年1回のペースで展覧会を開催し、地方でも展覧会を実施しましたが、1955年を最後に活動を止め、その後自然消滅しました。

新版画集団から造型版画協会へと続いた版画運動は、日本版画の育成・発展を目指した版画家、版画研究者らによって1954年に結成された「版画懇話会」の活動に引き継がれていきました。

蓬田兵衛門《綾瀬川風景》1932頃、木版、小野忠重版画館蔵

激動の時代に版画に熱中した青年たち。

彼らの作品を通して1930年代-1940年代の日本を感じてみてはいかがでしょうか。

開催概要

会期 2024年3月16日(土)〜2024年5月19日(日)
会場 町田市立国際版画美術館
住所 東京都町田市原町田4-28-1
展示室 町田市立国際版画美術館 企画展示室1、2
時間 平日:10:00~17:00 / 土日祝:10:00~17:30(最終入場は閉館30分前)
休館日 月曜日
*但し4/29(月)の祝日、5/6(月)の振替休日は開館、翌4/30(火)、5/7(火)は休館
(会期中4月23日(火)から約10点を展示替えします)
観覧料 一般900円(700)、大・高生450円(350)、中学生以下無料
*( )は20名以上の団体料金
*3/16(展覧会初日)と、4/19(開館記念日)は無料
*3/27、4/24はシルバーデー(毎月第4水曜日は65歳以上の方無料)
*身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者
保健福祉手帳をご提示の方と付き添いの方1名は半額
割引:リピーター割引、ウェブクーポン割引ほか各種割引を実施(詳細は当館HPに掲載)
TEL 042-726-2771
URL 町田市立国際版画美術館|公式サイト

【写真6枚】1930-1940年代の日本にタイムスリップ!「版画の青春 小野忠重と版画運動」 ―激動の1930-40年代を版画に刻んだ若者たち― を詳しく見る
イロハニアート編集部

イロハニアート編集部

  • twitter
  • facebook

アートをもっと自由に、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディア。日々、アートのイロハが分かるコンテンツを配信しています。アイコンは「イロハニくん」。アートのそばに、ひっそりと棲んでいます。

アートをもっと自由に、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディア。日々、アートのイロハが分かるコンテンツを配信しています。アイコンは「イロハニくん」。アートのそばに、ひっそりと棲んでいます。

イロハニアート編集部さんの記事一覧はこちら