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EVENT

2021.8.31

超絶技巧のデミタスカップに魅せられる!『デミタスカップの愉しみ 』展

16〜17世紀に東洋から西洋にもたらされた喫茶の文化。

その後、19世紀のヨーロッパでは食文化が確立し、テーブルウェア、インテリア、装飾美術が発展しました。その中でもセットの一要素に限られることなく、カップ単独でも使用されうる異色な存在として現れた、デミタスカップ。

そんなデミタスカップを2000点以上所有する村上和美氏のコレクションから約380点を厳選展示している『デミタスカップの愉しみ 』展が、渋谷区立松濤美術館にて開催中です。

デミタスカップのはじまり

濃いコーヒーを飲むための小さなコーヒーカップ「デミタス(Demitasse)」

濃いコーヒーを飲むための小さなコーヒーカップ「デミタス(Demitasse)」。

フランス語の「半分(デミ=demi)」と「カップ(タス=tasse)」からきており、その名のとおり一般的なコーヒーカップの半分程度の容量が入るカップのことです。

19世紀のヨーロッパでは中流階級が勃興し、彼らの間でコーヒー文化が浸透すると、焙煎・抽出技術も進展。多様なコーヒーの楽しみ方が広がるにつれて、濃いコーヒーを飲むためのカップが生まれ、その需要も増えて様々なデザインのものが誕生しました。

時代とともに移り変わるデザイン

濃いコーヒーを飲むための小さなコーヒーカップ「デミタス(Demitasse)」

19世紀半ば以降に開催された万国博覧会がきっかけとなり、ヨーロッパでは日本美術が大ブームとなった影響から、日本的なモチーフや構図を発展させたジャポニスムが流行しました。

世紀末には、ジャポニスムに影響を受けたアール・ヌーヴォーがデザイン界を席巻。装飾に精緻を極めた技巧を詰め込み、冒険的ともいえるデザインが生み出されました。

その後、有機的な曲線が特徴だったアール・ヌーヴォーとは対照に、直線的で幾何学的構図を用いたアール・デコが流行。近代化した新しい時代を象徴するようなモダンでスタイリッシュなデザインが誕生しました。

デミタスカップに魅せられる!

2000点以上のデミタスカップを所有する村上和美氏のコレクション

本展は、2000点以上のデミタスカップを所有する村上和美氏のコレクションより約380点を厳選展示。

地下一階の「第1部:デミタス、ジャポニズムの香り」では、17世紀にはじまるシノワズリの流行や、19〜20世紀にヨーロッパにおいて人気となったジャポニスム、アール・ヌーヴォー、アール・デコの作品及び日本製の作品から、ジャポニスムの受容と変遷をたどっていきます。

「デミタス、デザインの大冒険」

続く、地上2階の展示会場「デミタス、デザインの大冒険」は、デミタスカップの様々な装飾方法をはじめ、形態、機能、デザインに注目した内容となっています。

コレクションを紐解いていくと東西の文化交流を感じることができます。

デミタスカップ

あなたのお気に入りを探してみよう!

ユーモア溢れる形態のデミタスカップ

デミタスカップコレクターの村上和美氏は有名窯に限定せず、その創造性の輝く優品に注目して収集しているのだそうです。

ユーモア溢れる形態をはじめ、機能的な側面を生かしたセット、超絶技巧ともいえる繊細華麗な装飾が施されたものなど、職人のデザインへのあくなき探求が伝わってくることでしょう。

その制限された小さな珠玉の造形にこそ、職人・作家の技術が凝縮された、極限の美を垣間見ることができるのです。

一客、一客、個性豊かなデミタスカップを鑑賞しながら、ぜひあなたのお気に入りを見つけてみてください。

『デミタスカップの愉しみ 』展
会期:2021年8月24日(火)~10月10日(日)
会場:渋谷区立松濤美術館
土・日・祝日及び10月15日(火)以降の最終週は「日時指定制」
休館日:月曜日(ただし、9月20日は開館)、9月21日(火)、24日(金)
HP:https://shoto-museum.jp/exhibitions/193demitasse/
日時指定や各種イベントなどはホームページや松濤美術館のSNSをご覧ください。

【写真6枚】超絶技巧のデミタスカップに魅せられる!『デミタスカップの愉しみ 』展 を詳しく見る

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新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

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