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2022.6.24
「コラージュ展2022」をレポート!総勢16名のコラージュ作家による珍しすぎる展示会
「コラージュ」という技法をご存じでしょうか。新聞、雑誌、写真、絵画、造形などなどをいったん切ったり刻んだりして、再度貼り付ける。すると、もともとの雑誌や新聞などが持っていたメッセージ性などは失われ、完全に新しい作品が生まれる。という表現技法です。
分かりやすいのは「新聞のフォントを組み合わせて作られた犯行予告文」でしょうか。「大谷翔平!祝・100勝!」の「1」が「身代金1000万持ってこい」の「1」になる。こんな感じで、もともとのメッセージとはまったく違ったメッセージが生まれる。すると、そこに思いがけないユーモアが誕生したりするわけです。
コラージュ作家はあらゆるアート表現技法のなかでも、かなり母数が少ないと感じます。美大・芸大の学科を見ても、油絵学科、日本画学科、彫刻学科、デザイン学科、東京藝大なんて壁画研究室まであるのに、コラージュ科はない。描くのではなく「切って貼る」という行為で作品を作れるので、ぶっちゃけ“ 誰でもできる”んですけど、人口はまだまだ少ない分野なんです。
そんな希少価値の高いコラージュ作家がなんと「16人も集まって共同展をしている」と伺ったので、早速原宿にあるデザインフェスタギャラリーに潜入してみました。イベントは7月9日(土)まで続いていますので、気になる方はぜひ立ち寄ってみてください。
公募で集まった16人の共同展
原宿駅の竹下通り方面で降りて、JK地獄で前に進めない竹下通りを突っ切り、路地に入って進んだところにデザインフェスタギャラリーはあります。
ピンクの外装がインパクト抜群の建物です。もともとアパートだった建物を改装した建物で内装もめちゃめちゃおもしろい。各部屋ごとに別々の展示がなされており、中央のスペースにはカフェやお好み焼き屋さんがあります。メシ食って作品見てお茶飲んで……もうなんかいろんな意味で満腹になれる素敵な建物です。ヨーロッパみたいな、フリーダムな雰囲気が漂っています。
コラージュ展は「EAST アートピース」で開催されています。
まずは入った瞬間のインパクトとユーモア。16名の多種多様な作品が並んでいます。思わず「おぉ~」と感嘆してしまうほど圧巻といいますか、いい意味で無秩序で、すでに楽しい雰囲気が漂っているこの感じ。まさに今展示のキャッチコピーにもなっている「クラッシュアンドビルド」の世界がそこにありました。
何でもないレシートの1枚が、こうして作品に組み込まれると、とんでもない社会的意義を持つように思えてくる。反対に雑誌・ヴォーグとかでカッコつけてポーズ決めているモデルの胴体をわんちゃんに変えるだけで、なんだかとんでもなく滑稽に見えてくる。
モチーフに何か突拍子もない要素を1つ加えるだけで、非常に恐ろしくなったり面白くなったりする。コラージュっておもしろいなぁ。とあらためて感じられる展示になっています。
16人の作品から感じた「コラージュの可能性」
新聞や雑誌などを用いた作品、Photoshopなどのデジタルで素材を組み合わせたもの、パッチワークのように布を使ったもの、可愛らしいイラストとコラージュを組み合わせた作品……本当に個性豊かで「コラージュの可能性」を示している展示のように思えました。
例えばヒップホップでは「サンプリング」という文化があります。先人が出した曲のワンフレーズをそのまま自分の曲に使うというものですが、これも立派なコラージュでしょう。映画やアニメで「誰もが知っている名セリフ」をあえて使うメタ的なギミックを入れることがありますが、これもコラージュといえるかもしれない。
そんなことを考えていたら、もう沼にハマって「そういえば人間って親、友人、恋人、伴侶などなど、誰かしらの影響を受けながら人格が構成されていくなぁ……え、人ってコラージュじゃん」みたいな哲学に陥ってしまい、もうなんかアホみたいな顔でぽけーっと竹下通りを歩いていました。巨大虹色綿菓子食ってるJKを避けながら。
いやはや16名もいると、本当に多種多様なんです。だからこそ、この展示ではコラージュの可能性を感じることができたんだと思います。そのうえで各アーティストが表現したいこと、やりたいことを大いに楽しめる展示です。
会期は7月9日(土)まで。これほどのコラージュ作家が集まることは珍しいと思いますので、ぜひ巨大綿菓子でもほおばりながら、デザインフェスタギャラリーまで足を運んでみてはいかがでしょうか。
「コラージュ展2022」
https://designfestagallery.com/project/コラージュ展2022
開催期間:2022年6月12日(日)〜2022年7月9日(土)
所在地:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3丁目20-182 EAST館 WEST館
アクセス:明治神宮前〈原宿〉駅から徒歩 8 分
開館時間: 11:00〜20:00
休館日:無休
料金:無料
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アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。
アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。
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