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2022.10.3
【10月のおすすめ展覧会5選】鉄道と美術から国宝、神坂雪佳、ヴァロットンまで
芸術の秋到来! 10月は一年で最も多いと言って良いほどたくさんの展覧会が開幕します。そうした中、1日には静嘉堂文庫美術館が世田谷から丸の内の「明治生命館」に移転オープン。また東京国立博物館では館蔵の国宝をすべて公開する『創立150年記念 国宝 東京国立博物館のすべて』がはじまります。おすすめの展覧会をご紹介します。
目次
明治生命館へと移転オープン!「静嘉堂@丸の内」の『響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―』展
1892年、現在の三菱グループの礎を築いた岩﨑彌之助によって創業し、息子の岩﨑小彌太によってコレクションが拡充された公益財団法人静嘉堂。和漢の古典籍約20万冊、および古美術品約6500件(国宝7件、重要文化財84件を含む)を所蔵し、1977年より静嘉堂文庫に併設された展示館で美術品を公開すると、1992年には静嘉堂文庫美術館を新設。長らく世田谷区岡本の地で展覧会を開いてきました。
そして2022年10月、静嘉堂文庫美術館の展示ギャラリーが千代田区丸の内の「明治生命館」へ移転し、「静嘉堂@丸の内」の新たな愛称とともにオープンしました。その開館を記念して行われるのが『響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―』で、『曜変天目(稲葉天目)』をはじめとする7件の国宝のすべてと琳派の名品、または茶道具や中国絵画などが公開されます。壮麗な大理石造りの展示スペースと作品との響き合いにも注目が集まりそうです。
『静嘉堂創設130周年・新美術館開館記念展Ⅰ響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―』 静嘉堂文庫美術館
開催期間:2022年10月1日(土)~12月18日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
アクセス:東京メトロ千代田線二重橋前〈丸の内〉駅3番出口直結。JR線東京駅丸の内南口より徒歩5分
開館時間:10:00~17:00
※金曜日は18:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日、11月8日(火)、11月9日(水)
料金:一般1500円、大学・専門学校・高校生1000円、中学生以下無料
https://www.seikado.or.jp
日本に鉄道が開業して150年。鉄道と美術の知られざる関係とは?
1872年に新橋と横浜の間で開業し、今年150周年を迎えた日本の鉄道。1914年には東京へ中央停車場として東京駅が開業すると、全国鉄道網の中心駅として発展してきました。その東京駅の丸の内駅舎内にある東京ステーションギャラリーにて開かれるのが『鉄道と美術の150年』で、鉄道と美術の150年の様相を、政治、社会、風俗などから読み解いていきます。
鉄道は古くから絵師や画家のモチーフの対象となり、多くの絵画が描かれただけでなく、1960年以降は駅や車内でパフォーマンスが行われるなど、美術家たちの活動の場ともなりました。また近年は車窓や駅に作品が飾られるなど、鉄道がアートと深く関わってきました。今回の展示では宮島達男や柳幸典といった現代アートにも着目していて、いま、鉄道が美術家へどのようなインスピレーションを与えているのかについても明らかにされます。
『鉄道と美術の150年』 東京ステーションギャラリー
開催期間:2022年10月8日(土)~2023年1月9日(月・祝)
所在地:東京都千代田区丸の内1-9-1
アクセス:JR線東京駅丸の内北口改札前。東京メトロ丸の内線東京駅M12出口より徒歩3分
開館時間:10:00~18:00
※金曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし10月10日、1月2日、1月9日は開館)、10月11日、12月29日〜1月1日
料金:一般1700円、高校・大学生100円、小・中学生700円
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/
東京国立美術館の国宝全点を公開!『創立150年記念 国宝 東京国立博物館のすべて』
1879年に東京・湯島聖堂大成殿で開かれた博覧会にはじまる東京国立博物館。150年の歴史の中で受け継がれてきた収蔵品は実に約12万件にもおよび、そのうちの3000件が、ほぼ毎週、作品を入れ替えながら総合文化展(常設展)にて公開されています。本館や東洋館、それに平成館や法隆寺宝物館など6館からなる展示スペースは極めて広大。質量ともに日本最大級の博物館と呼んで差し支えありません。
この東京国立博物館の所蔵するすべて国宝が展示されるのが、『創立150年記念 国宝 東京国立博物館のすべて』です。ここでは全国の国宝の約1割に相当する国宝89点をはじめとする150点の名品が展示され、あわせて東京国立博物館の歴史も紹介されます。狩野永徳の国宝『檜図屏風』や酒井抱一の重要文化財『夏秋草図屏風』といった名品はもとより、かつての湯島聖堂博覧会の再現展示なども見どころとなります。
『創立150年記念 国宝 東京国立博物館のすべて』 東京国立博物館
開催期間:2022年10月18日(火) ~12月11日(日)
所在地:東京都台東区上野公園13-9
アクセス:JR線上野駅公園口下車徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅下車徒歩15分。京成電鉄京成上野駅下車徒歩15分
開館時間:9:30~17:00
※金曜・土曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
料金:一般2000円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料
※事前予約制(日時指定)
https://www.tnm.jp
国内の美術館での回顧展は20年ぶり。図案家、神坂雪佳の魅力的なデザイン。
明治から昭和にかけて京都で活動した図案家・画家の神坂雪佳(かみさか せっか。1866~1942年)。江戸時代の琳派の芸術に関心を寄せた雪佳は、その表現手法を取り入れると、近代に相応しいデザインへと昇華させ、図案集の出版から工芸品の意匠、また調度品の装飾や絵画の制作など幅広い仕事をこなしました。「光琳の再来」とまで称された雪佳は、京都産業界の振興や工芸界の活性化にも尽力します。
パナソニック汐留美術館で開催される『つながる琳派スピリット神坂雪佳』では、京都・細見美術館の監修のもと、雪佳の代表的作品に加え、手本とした本阿弥光悦や尾形光琳らの琳派の名品とあわせ、絵画、図案集、工芸品など約80点を展示します。近年、書籍や展覧会への出品も相次ぎ、あらためて人気の高まる雪佳ながら、国内の美術館での本格的な回顧展は約20年ぶり。マルチに才能を発揮した雪佳の魅力を味わえるまたとない機会となります。
『つながる琳派スピリット神坂雪佳』 パナソニック汐留美術館
開催期間:2022年10月29日(土)~12月18日(日)
所在地:東京都港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4階
アクセス:JR線新橋駅より徒歩約8分。東京メトロ銀座線新橋駅2番出口より徒歩約6分。都営大江戸線汐留駅3・4番出口より徒歩約5分
開館時間:10:00~18:00
※11月4日(金)、12月2日(金)は20:00時まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日:水曜日(ただし11月23日(祝)は開館)
料金:一般1000円、65歳以上900円、大学生700円、中・高校生500円、小学生以下無料
https://panasonic.co.jp/ew/museum/
世界有数のヴァロットンの版画コレクションが一堂に。三菱一号館美術館の『ヴァロットン―黒と白』展
スイスに生まれ、19世紀末のパリで活動し「外国人のナビ」とも呼ばれた画家、フェリックス・ヴァロットン(1865〜1925年)。主に日常の光景を描きつつも、不穏でただならぬ気配が潜んでいるような油彩画で知られると同時に、黒一色の革新的な木版画で名声を得ると、多くの人々の目を楽しませてきました。そのユニークな画家の視点を辿っていると、まるで解けない謎を前にしているような気持ちにさせられます。
三菱一号館美術館の『ヴァロットン―黒と白』では、ヴァロットンの木版画のみに注目。同館は世界有数のヴァロットン版画コレクションを有していますが、希少性の高い「アンティミテ」、「楽器」、「万国博覧会」、「これが戦争だ!」といった連作をはじめ、約180点の作品を初めて公開します。2014年、同館では国内初のヴァロットンの回顧展が開かれ、美術ファンの大きな注目を浴びましたが、再びヴァロットン・ムーブメントがやって来るかもしれません。
『ヴァロットン―黒と白』 三菱一号館美術館
開催期間:2022年10月29日(土)〜 2023年1月29日(日)
所在地:東京都千代田区丸の内2-6-2
アクセス:JR線東京駅丸の内南口より徒歩5分。都営三田線日比谷駅B7出口、東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口より徒歩3分
開館時間:10:00~18:00
※⾦曜と会期最終週平⽇、第2⽔曜⽇は21:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし10月31日、11月28日、12月26日、1月2日、1月9日、1月23日は開館)、12月31日、1月1日
料金:一般1900円、高校・大学生1000円、中学生以下無料
https://mimt.jp/
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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。
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