Facebook Twitter Instagram

STUDY

2023.5.18

コンセプチュアルアートって?現代アートを理解するためのイロハを解説

コンセプチュアルアートは、コンセプチュアリズムとも呼ばれる芸術の一種です。現代アートの1つの潮流とされ、欧米を中心に起こりましたが、高松次郎、松澤宥、柏原えつとむのような日本人芸術家も含まれます。

マイケル・クレイグ・マーティン『An Oak Tree』,.The original uploader was Pixel23 at English Wikipedia., CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

コンセプチュアルアートは、よく耳にする言葉でありながら概念を理解するのは簡単ではありません。この記事では、初心者に向けてコンセプチュアルアートを解説します。

コンセプチュアルアートが生まれた潮流

マルセル・デュシャン『噴水』,Photo by Alfred Stieglitz, Public domain, via Wikimedia Commons

コンセプチュアルアートは一般的に、ポストモダニズム芸術のうちの1つと考えられます。1917年に発表されたマルセル・デュシャンの『噴水』は、コンセプチュアルな作品の先駆けです。

▼関連記事:「便器」が芸術?マルセル・デュシャンがアートとみなされる理由
記事を読む

『噴水』に用いられた素材は既存の男性用便器であり、芸術家の手によって一から作られたものではありません。デュシャンから始まった既製品を用いる手法を、「レディ・メイド(既製品)」と呼びます。

コンセプチュアルアートが生まれた背景には、19世紀半ば以降に芸術界に浸透していたモダニズムがあります。モダニズムは、伝統的で構造的な解釈を逸脱し、本質的な形式的性質を定義するための活動が中心でした。

そこから飛躍し「レディ・メイド」が登場しましたが、「レディ・メイド」を含むコンセプチュアルアートがモダニズムに対する反発だったかについては議論が続いています。

コンセプチュアルアートの特徴

ローレンス・ウェイナー『Bits & Pieces Put Together to Present a Semblance of a Whole』,GearedBull, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

コンセプチュアルアートにおいて最も大切なものは、作品の「コンセプト」や「アイデア」です。作品に用いる素材やテクニックは重視されず、この点において伝統的な芸術とは大きくことなります。

コンセプチュアルアートは美しさの追求ではなく、「芸術の本質」を問うことを目的にしているため、素材や技術は重要ではありません。コンセプチュアルアートにおける芸術は「芸術」の定義を探るための活動であり、そのために美しさは必要ないためです。

多くの場合コンセプチュアルアートには、作品のアイデアを説明するための文書が添えられています。文書そのものがアートとして扱われることもあります。むしろ、文書による指示のみの作品が、「コンセプチュアルアート」の純粋な姿であるとする考え方もあるほどです。

コンセプチュアルアートの鑑賞を楽しむためには…

Jetullah Sylejmani 『Let’s open up』,, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

コンセプチュアルアートは、芸術作品の重要性よりもアイデアに重点をおいている点が特徴です。そのため、アート自体の詳細に目を向けるよりは、そこに含まれている芸術家の思想に目を向ける必要があります。

作品を起点にして芸術について議論することが、コンセプチュアルアートにおいては最も重要です。作品に説明書きや指示書がある場合は、必ず目を通しましょう。

芸術の「美しさ」ではなく、思想に注目して鑑賞する楽しさは現代アートならではでしょう。もし誰かと一緒に作品を鑑賞する場合は、お互いの意見や感想を伝え合うのも楽しいかもしれません。

以上、コンセプチュアルアートは複雑な考え方に基づきますが、鑑賞のコツがつかめれば面白い発見がある芸術です。まずは作品をいくつか鑑賞し、傾向を掴むと理解しやすくなるでしょう。

【写真4枚】コンセプチュアルアートって?現代アートを理解するためのイロハを解説 を詳しく見る
はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

はなさんの記事一覧はこちら