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2024.2.9

キリスト教絵画の「白い鳩」って?「聖霊」の考え方と役割解説

キリスト教絵画に登場する「白い鳩」は「聖霊」と呼ばれ、宗教上の重要な役割を担っています。カトリック美術においては聖書のあらゆる重要な場面で頻繁に登場するため、「白い鳩」の存在に疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

この記事では、キリスト教絵画に描かれる「白い鳩」=「聖霊」について、カトリックの教義と美術表現の側面から解説します!

カトリックにおいては「白い鳩」=「神」?

The Annunciation, Girolamo Mazzola Bedoli , Public domain, via Wikimedia Commons

まず、この記事はカトリック美術を前提に解説をしている点に注意してください。というのも、「白い鳩」は「聖霊」の象徴であり、「聖霊」をどのように解釈するかは宗派によって異なるためです。

カトリックの伝統においては、三位一体(さんみいったい)の考え方に基づき、「白い鳩(聖霊)」は重要な地位を占めてきました。三位一体とは、「神」「イエス」「聖霊」の3つの要素すべてを「神」として同格視する考え方です。


「聖霊」は、愛によって人々を導く役割があります。「聖霊」が白い鳩の姿をしている理由は、聖書の記述です。福音書によると、洗礼に際して「(イエスは)聖霊が、鳩のような形をして、ご自分の上に下られるのをご覧になった。」と言われます。(ルカ3:22)

聖霊は霊(スピリット)が地上に降りてきた状態であるため、一般的には目に見えません。しかし、聖霊は神と人との距離を縮める、仲を取りもつ役割があるため、ときとして姿を見せることがあります。その際は、「白い鳩」の姿で現れるというわけです。

枝を加えた白い鳩は「平和」の象徴。旧約聖書『ノアの箱舟』より

Noah sends off a dove from the ark, Public domain, via Wikimedia Commons

カトリックの芸術において聖霊が白い鳩の姿をしていることは、旧約聖書に起因すると考えられます。旧約聖書の物語『ノアの箱舟』では、大洪水から逃れるために動物のつがい(メスとオス)を連れて箱舟に乗り込んだノアは、船上から数日間水が引かない状況を見て、水に覆われていない土地はもはやないのではないかと不安を抱きます。

そこで一羽の白い鳩を放って乾いた土地を探させたところ、鳩はオリーブの枝を加えてノアのもとに帰ってきました。つまり、世界のどこかに木が生息できる土地があるということです。(創世記8:11)

創世記の有名なこの物語により、白い鳩は「平和」の象徴とみなされるようになりました。実際、枝を加えた白い鳩の図像は宗教のコンテクストを超えて広く浸透しています。

「受胎告知」「イエスの洗礼」に「白い鳩」が登場

The Annunciation, Melozzo da Forli Pantheon, Public domain, via Wikimedia Commons

カトリック美術においてとくに「白い鳩」の登場頻度が高いシーンは、「受胎告知」と「イエスの洗礼」です。


受胎告知(聖母マリアが処女懐妊を知らせられる場面)においては、大天使ガブリエルと聖母マリアの頭上に配置されることが多く、天からの啓示を示しています。イエスの洗礼の場合も同様、洗礼者ヨハネとイエスの頭上にいて天からのメッセージを授けているように見えます。


元来「白い鳩(聖霊)」の役割、神と人をつなげ、人を幸せに導くことです。『ノアの箱舟』で乾いた大事の存在を示したり、聖母マリアに救世主がこの世に降りてきたことを伝えたり、神が人を導く際の伝達手段のような存在と言えます。


キリスト教美術のなかで白い鳩を見つけた際は、「聖霊」が神と人との交信をもたらしていると理解するとスムーズでしょう。以上、カトリック美術における「白い鳩」についての解説でした!

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はな

はな

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

イタリア・ローマの大学の美術史修士課程に在籍中。3年半勤めた日系メーカーを退職後、2019年から2年半のスペイン生活を経てフリーライター、日英・日西翻訳として活動するかたわら、スペイン語話者を対象に日本語を教えています。趣味は読書、一人旅、美術館・教会巡り、料理。

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