Facebook X Instagram Youtube

EVENT

2023.7.3

【7月のおすすめ展覧会5選】テート美術館展からソール・ライター、デイヴィッド・ホックニーの個展まで。

全国的に暑い夏がやってきました。この時期は出かけるのがおっくうになりがちですが、国内では27年ぶりとなるホックニーの大規模個展や、「光」をテーマに幅広くコレクションを公開する『テート美術館展』、それに虫と日本美術の深い関係をたどる『虫めづる日本の人々』など、見逃せない展覧会が少なくありません。おすすめの5展を紹介します。

空想の彼方へ─野又穫の不思議な世界への扉が開かれる。東京オペラシティ アートギャラリーにて個展を開催。

1955年に東京にて生まれ、東京藝術大学でデザインを修めた野又穫(のまた みのる)は、広告代理店のアートディレクターとして勤務するかたわら絵画の制作に取り組むと、一見、想像上でありながら、リアルと地続きにあるような建造物や建築風景を描き、多くの美術ファンの心をとらえてきました。いわば「空想建築」とも呼べる作品は、懐かしさを感じさせつつ、ありそうでないような光景として独特のシュールな雰囲気をたたえています。

東京オペラシティ アートギャラリーにて開かれる『野又穫 Continuum 想像の語彙』では、野又の作品をこよなく愛した同館コレクションの寄贈者、寺田小太郎による収集作品を中心に初期から最新作までを公開し、企画展示室では初めてとなる個展にて野又の魅力を紹介します。野又は2004年、同館にて写真家のウォルフガング・ティルマンスと同時開催にて展示を行いましたが、それ以来、野又の空想とも現実ともつかない世界をまとめて味わえる機会となります。

『野又穫 Continuum 想像の語彙』 東京オペラシティ アートギャラリー
開催期間:2023年7月6日(木)~9月24日(日)
所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F
アクセス:京王新線初台駅東口下車徒歩5分(東京オペラシティビルに直結)
開館時間:11:00~19:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、全館休館日(8月第1日曜日)
料金:一般1400円、大学・高校生800円、中学生以下無料
https://www.operacity.jp/ag/

【国立新美術館】光の饗宴─テート美術館のコレクションが贈る、200年の輝きの旅。

数えきれない表情を見せる「光」をどう描き、どう表現するのかに向き合ってきたアーティストたち。それは絵画、写真、素描、キネティック・アート、インスタレーション、さらに映像といったジャンルを超え、さまざまなかたちにて表されてきました。そうした「光」をテーマに、イギリスのテート美術館のコレクションから18世紀末から現代までのアーティストの創作の軌跡をたどる『テート美術館展 光 —ターナー、印象派から現代へ』が、東京・六本木の国立新美術館にて開かれます。

ここではジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーやジョン・コンスタブルをはじめ、クロード・モネなどの印象派の画家、また光を使った実験的な作品で知られるモホイ=ナジ・ラースローやバウハウスの写真家、さらにはジェームズ・タレルやオラファー・エリアソンなどの現代アーティストまでの約120点の作品を公開。時代やジャンルを越えて「光の作品」を俯瞰していきます。なお展示作品のうち実に100点は日本初出品。ターナーの『光と色彩(ゲーテの理論)―大洪水の翌朝―創世記を書くモーセ』やリヒターの『アブストラクト・ぺインティング(726)』といった名品が初来日を果たします。

『テート美術館展 光 —ターナー、印象派から現代へ』 国立新美術館
開催期間:2023年7月12日(水)~10月2日(月)
所在地:東京都港区六本木7-22-2
アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅青山霊園方面改札6出口より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分
開館時間:10:00~18:00
 ※毎週金・土曜日は20時まで
 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
観覧料:一般2200円、大学生1400円、高校生1000円、中学生以下無料
https://www.nact.jp/
https://tate2023.exhn.jp/
※大阪中之島美術館へと巡回。会期:2023年10月26日(木)〜2024年1月14日(日)

ニューヨークの色彩を奏でる、ソール・ライターの感性。ヒカリエホールにて展覧会が開催!

アメリカのペンシルバニアに生まれ、1980年代にかけて『ハーパーズ・バザー』をはじめとする多くの雑誌でファッション写真を撮ったソール・ライター(1923〜2013年)。50代でキャリアの表舞台からすがたを消すも、80代になった2006年に初の写真集『Early Color』(シュタイデル社、ドイツ)を刊行し、一躍世界中から注目を浴びました。そして日本でも過去2回、Bunkamuraザ・ミュージアムにて展覧会が開かれ、「ソール・ライター風の写真」という言葉が生まれるなど、一大ムーブメントを生み出しました。

東京・渋谷のヒカリエホールで開かれる『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』では、1950年代から60年代頃にニューヨークを写した未公開のスナップ写真、また絵画をはじめ、2020年以降に新たに発見された作品によるカラースライド・プロジェクションなど400点以上の作品を公開。ニューヨークで交流した後の巨匠アーティストたちのポートレートや、『ハーパーズ・バザー』でのファッション写真も展示し、ソール・ライターの仕事や魅力について掘り下げていきます。

『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』 ヒカリエホール ホールA
開催期間:2023年7月8日(土)~8月23日(水)
所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ9F
アクセス:JR線・京王井の頭線渋谷駅と2階連絡通路で直結。東京メトロ銀座線渋谷駅と1階で直結。東急東横線・田園都市線・東京メトロ半蔵門線・副都心線渋谷駅B5出口と直結。
開館時間:11:00~20:00
 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:無休
観覧料:一般1800円、大学・高校生1000円、中学・小学生700円
https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/23_saulleiter/

現代美術の巨星ホックニーの真髄がここに!東京都現代美術館での『デイヴィッド・ホックニー展』。

イギリスに生まれ、ロサンゼルスに移住後、アメリカ西海岸の光あふれる情景を描いた絵画で人気を博した画家、デイヴィッド・ホックニー(1937年〜)は、60年に以上にわたって絵画や写真、舞台芸術などで制作を続けると、今年86歳を超えてもなお活動に打ち込んできました。現在はフランスのノルマンディーを拠点に新作を発表していて、2017年ポンピドゥー・センター(パリ)での個展では60万人以上の来場者を記録するなど、現代を代表する多才なアーティストのひとりとして人気を集めています。

東京都現代美術館の『デイヴィッド・ホックニー展』では、イギリス各地とロサンゼルスで制作された数多くの代表作に加えて、近年の風景画の傑作『春の到来』シリーズや、コロナ禍によるロックダウン中にiPadで描かれた全長90メートルにもおよぶ新作『ノルマンディーの12か月 2020-2021年』など120点の作品を公開し、過去から現在へと至るホックニーの長きにわたる画業を明らかにします。展示は全8章にて構成され、『ウォーター近郊の大きな木々またはポスト写真時代の戸外制作』といった後半部分にて公開される作品は、すべて日本初公開となります。

『デイヴィッド・ホックニー展』 東京都現代美術館
開催期間:2023年7月15日(土)~11月5日(日)
所在地:東京都江東区三好4-1-1(木場公園内)
アクセス:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2番出口より徒歩9分。都営大江戸線清澄白河駅A3番出口より徒歩13分。
開館時間:10:00~18:00
 ※展示室入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(7月17日、9月18日、10月9日は開館)、7月18日(火)、9月19日(火)、10月10日(火)
観覧料:一般2300円、大学生・専門学生・65歳以上1600円、中高生1000円、小学生以下無料
https://www.mot-art-museum.jp/

虫を愛でてきた日本の人々の美意識とは?サントリー美術館での『虫めづる日本の人々展』。

古くより草木や花鳥などを大切にしながら暮らしてきた日本の人々。そして現在において昆虫と分類されるものだけでなく、蜘蛛や蛙、蛇などの小さな生き物も虫として親しみ、物語や和歌に取り上げつつ、絵画などに描いてきました。中でも蛍や鈴虫が多く登場する源氏絵や伊勢絵、また中国からもたらされた吉祥を表す草虫図などで知られ、江戸時代以降は古画学習や俳諧といった文芸の影響を受け、草虫図という分野には収まらない多様な虫の絵が生まれました。

そうした虫と日本美術の関係に着目するのが、東京・赤坂のサントリー美術館にて開かれる『虫めづる日本の人々』です。ここでは住吉如慶の『きりぎりす絵巻』や伝趙昌の『竹虫図』、また喜多川歌麿の『夏姿美人図』や増山雪斎の『虫豸帖』(ちゅうちじょう)など虫を描いた作品を展示。あわせて蝶、蜻蛉、鈴虫、蜘蛛などの虫をあしらった酒器や染織品なども公開し、虫がどのように美術として表現されていったのかについてたどります。また虫と文芸、また生活に用いる道具を彩る虫、さらに蛍狩や虫聴といった娯楽など、暮らしと虫との関係についても探ります。

『虫めづる日本の人々』 サントリー美術館
開催期間:2023年7月22日(土)~9月18日(月・祝)
 ※会期中に展示替えあり。
所在地:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
アクセス:都営大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。
開館時間:10:00~18:00(金・土は20:00まで)
 ※8月10日(木)、9月17日(日)は20時まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日 ※9月12日は18時まで開館
観覧料:一般1500円、高校・大学生1000円、中学生以下無料
https://www.suntory.co.jp/sma/

【写真5枚】【7月のおすすめ展覧会5選】テート美術館展からソール・ライター、デイヴィッド・ホックニーの個展まで。 を詳しく見る
はろるど

はろるど

  • twitter
  • homepage

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

はろるどさんの記事一覧はこちら