EVENT
2023.12.4
映画監督のウェス・アンダーソンの世界観を体現した写真展「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」が開催
『グランド・ブダペスト・ホテル』、『犬ヶ島』など、独自の視覚的スタイルと物語性で知られる映画監督のウェス・アンダーソンの世界観にインスピレーションを受けた写真展「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」が、12月28日(木)まで渋谷ヒカリエの9階にあるヒカリエホールで開催されています。
この記事では、本展の見どころやおすすめの作品を紹介します。
目次
ウェス・アンダーソンって誰?
ウェス・アンダーソン(Wes Anderson)は、アメリカの映画監督、脚本家、プロデューサーであり、独特のスタイルと視覚的な美学で知られています。彼の作品は、独特の色彩、シンメトリーな構図、細部へのこだわり、そして風変わりなキャラクターと独創的なストーリーテリングで高く評価されています。
1969年、テキサス州ヒューストン出身のアンダーソンは、1990年代半ばに映画界に登場し、1960年代のニューペンザンス島を舞台にし、若い恋人たちの逃避行を描いた『ムーンライズ・キングダム』(2012年)、ヨーロッパの架空の国を舞台にした、ホテルのコンシェルジュとベルボーイの交友を描き、アカデミー賞を複数受賞した『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014年)、日本を舞台にしたストップモーション・アニメーションSFコメディの『犬ヶ島』(2018年)など、一部の映画ファンから熱狂的な支持を受けた作品を発表。彼の作品はしばしば、感情的な深みとユーモアを兼ね備え、鑑賞者に強い印象を残します。
AWAとは?
AWAは「Accidentally Wes Anderson(偶然にもウェス・アンダーソン)」という名前のInstagramコミュニティで、2017年に、NY在住のワリーとアマンダ・コーヴァル夫妻によって創設されました。彼らは旅行計画を立てる過程で、ウェス・アンダーソンの映画のような美しい場所や建物の写真を集め始め、それがきっかけで生まれました。Instagram上での人気が高まり、世界中から多くのフォロワーがこの美学を共有するようになり、現在、フォロワー数188万人超(2023年11月現在)のコミュニティに成長しています。
コミュニティで共有される写真は、世界中のさまざまな人々によって撮影されました。AWAの特徴は、特定のプロの写真家によるものではなく、このメンバーである「冒険者」と呼ばれる人々によって撮影された、多様でユニークな写真を集めている点にあります。
ウェス・アンダーソンの映画の特徴でもある「ポップなパステルカラー」と「シンメトリー(左右対称)な構図」と「はっきりとした模様」の要素はAWAの写真にも反映されています。これらのウェス・アンダーソンの映画にでてきそうな写真は、ノスタルジックでフォトジェニックな世界観を演出し、見る人々に特別な感覚を提供します。
見どころ
会場構成は、ウェス・アンダーソンの映画の世界観を反映した多様なセクションで構成されています。約300点の写真作品が、それぞれのテーマに基づいて展示されることで、来場者はウェス・アンダーソンの映画にインスパイアされた様々な場所や風景を体感できることでしょう。
01 Welcome Adventurers
これから始まる冒険に先立ち、AWAプロジェクトと本展覧会についてご紹介するセクション。
02 Open Your Photo Album
思い出を懐かしむ、ノスタルジックなセレクションで構成されたエリア。
03 The Terminal
旅を繋ぐ駅の姿と、その背景に隠されたさまざまな物語を紹介。
04 Mind the Gap
飛行機、列車、バス、バイクなど、旅に欠かせない魅力的な移動手段。
05 Cities to Explore
鮮やかな色合いに満ちた都市、世界中から集めた異国文化溢れるロケーション。
06 Check in, Please
旅の疲れを癒す場所にとどまらない、美しく魅惑的なホテル。
映画「グランド・ブダペスト・ホテル」の世界観を再現したフロントのセット
07 Cool Pools
ヴィンテージな空間、バランスの取れた色合い、深い呼吸の記憶。
08 Colorful Collection
想像力を刺激するピンクとターコイズブルーだけを集めたセレクション。
ピンク色の壁の向こうに見える海のブルーのコントラストが印象的
09 Relax in Nature
青い草原、真っ白な雪景、広々とした海。ひとことでは語れないユニークで美しいシーン。
10 The Seventh Continent
大型プレミアム探検船ロアール・アムンセン号に乗って、いざ南極大陸へ。
天王洲の会場にはなかったセクションです。
白を基調としたキャンバスに色が入ることことで画面が締まります
11 Visitor Center
世の中を見る視点を変えれば、ありふれた日常も特別に見えてくる。あなたの次の旅はどこにする?
来場者は、自身の名前入りの特製「ボーディングチケット」を作成できるブースがあり、展覧会の体験をパーソナライズできます。
まとめ
この写真展にはウェス・アンダーソンの作品は1枚もありません。撮影者は、特定のプロの写真家ではなく、AWAコミュニティの一般のユーザー、
しかも、90%はスマートフォンで撮影された写真ということで、写真はその構図とこだわりしだいで魅力的な写真が撮影できるんだと教えてくれる写真展です。
また、会場は写真撮影OKなので、そういった写真をバックに友だちと撮影会をしてる若い女の子たちの風景も天王洲で見られました。そういう楽しみ方もできる展覧会なので、ほぼ1ヶ月と会期は短いですが、ウェス・アンダーソンっぽい世界観に浸りたい方へおすすめの展覧会です。
その他の関連情報
「平日限定!来館キャンペーン」や、「コラボメニュー展開」など、最新関連情報は公式WEBで確認できます。
『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷』
また、展覧会の開催記念として、ウェス・アンダーソンの「ムーンライズ・キングダム」が再映されます。
開催記念ムーンライズ・キングダム
期間:12/1(金)~12/7(木)限定上映
会場:Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
開催記念ムーンライズ・キングダム
開催概要
『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』
開催期間:2023年11月25日(土)〜2023年12月28日(木)
所在地:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ9F
アクセス:JR線・京王井の頭線渋谷駅と2階連絡通路で直結。東京メトロ銀座線渋谷駅と1階で直結。東急東横線・田園都市線・東京メトロ半蔵門線・副都心線渋谷駅B5出口と直結。
開館時間:11:00~19:00
※入場は閉館の30分前まで
休館日:無休
観覧料:一般2200円、大学生1600円、高校生以下1100円、未就学児 無料
※オンラインによる日時指定予約制
公式サイト:
『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷』
画像ギャラリー
あわせて読みたい
-
EVENT
2024.05.15
様々な「つながり」にフォーカス「つながるコレクション+新収蔵品展」
イロハニアート編集部
-
EVENT
2024.05.14
アレクサンダー・カルダーの個展が麻布台ヒルズ ギャラリーで開催へ
新 麻記子
-
EVENT
2024.05.08
はじまりの美術館 開館10周年企画!「き・てん・き・てん」展で「起点」「転機」について考えよう
ビビ
-
EVENT
2024.05.03
国内美術館で初の個展!「没後30年 木下佳通代」
イロハニアート編集部
-
EVENT
2024.05.01
動物好き永遠のテーマ「犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」が開催!長沢芦雪のゆるかわ犬も
ビビ
-
EVENT
2024.04.30
滋賀県立美術館開館40周年記念「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人―たとえば、「も」を何百回と書く。」を開催
さつま瑠璃
このライターの書いた記事
-
EVENT
2024.05.20
構造デザインがわかる名建築の構造模型を集めた展覧会「感覚する構造 – 法隆寺から宇宙まで –」が開催中!
つくだゆき
-
EVENT
2024.05.17
羽生結弦の写真展がグッチ銀座 ギャラリーで開催!「ありのままの今」をテーマに小浪次郎が撮り下ろし
つくだゆき
-
EVENT
2024.05.16
「伊藤潤二展 誘惑」美人画のような優雅さとグロテスクな要素が見事に融合した世界観が魅力
つくだゆき
-
EVENT
2024.05.07
工事現場の素材で作成された神殿に鎮座するゴッデス、久保寛子の個展「鉄骨のゴッデス」が開幕しました
つくだゆき
-
EVENT
2024.04.22
古代ローマと日本のお風呂文化にフォーカスした展覧会『テルマエ展』が開催中!
つくだゆき
-
EVENT
2024.04.17
「サントリー美術館コレクション展 名品ときたま迷品」国宝・重要文化財に加え、これまであまり展示の機会がなかった作品が大集合
つくだゆき
東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。
東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。
つくだゆきさんの記事一覧はこちら