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2024.6.18

『今森光彦 にっぽんの里山』過去最大の約190点の作品が公開!

滋賀県大津市にて生まれ、日本を代表する自然写真家として活躍する今森光彦(いまもり・みつひこ、1954年〜)。琵琶湖を望む田園にアトリエを構えながら、日本の里山を撮り続ける一方、世界各地の熱帯雨林や砂漠などを、写真や映像、また親しみやすい文章にて世に紹介してきました。

《今森光彦氏 近影》  撮影:今森元希

東京都写真美術館にて6月20日より開催される『今森光彦 にっぽんの里山』では、今森が30年以上に渡って撮影してきた琵琶湖周辺をはじめ、全国200ヶ所の里山を撮影した中から選ばれた約190点の写真が公開されます。見どころをご紹介します。

今森にとっての里山とは?「人が暮らしている同じ場所に生き物がいっしょにいる空間」

《ヒガンバナにやって来たモンキアゲハ》 広島県安芸高田市 2020年 作家蔵

幼少期から昆虫の生態と美しさに魅せられていた今森。かねてより世界中の昆虫を求め、精力的に取材を続けてきました。そして1992年、「日本中の里山を旅しながら訪ねてみたい」という思いのもと、雑誌で「里山物語」の連載をはじめます。

里山とは当時、森林生態学などの分野で人里と山の間に広がる農業環境を指す言葉として使われていたものの、まだ一般的とは言えませんでした。すると今森はその概念を拡げ、「人が暮らしている同じ場所に生き物がいっしょにいる空間を全部里山」と考えます。

そうした今森の新しい自然の概念は多くの人々の共感を呼び、里山が広く認知されることになったのです。

展示は「春夏秋冬」の4章構成。「春」と「夏」の里山の魅力を感じよう。

《カタクリにやって来たギフチョウ》 山形県鶴岡市 2010年 作家蔵

本展は「春夏秋冬」の4章構成。それぞれの季節ごとに、自然と人との絶妙なバランスで生み出される里山の光景が紹介されます。

第1章「春」では、ギフチョウといった生き物や、田植えや茶摘みなどの暮らしの作品を中心に、約60点を展示。カタクリにやって来たギフチョウや早春の香りのする山菜採り、またアルプスを眺める山里の田植えといった、春の里山ののどかな光景を楽しむことができます。

《夏の柴胡畑》高知県越知町 2016年 作家蔵

ほかのどの季節より濃厚な時間が流れるという夏は、今森にとって特別な季節です。第2章「夏」では、ゲンジボタルの光の群れ、また激しく葉音を鳴らす夕立や群れ飛ぶアサギマダラなど、約40点の作品を展示します。夏ならではの強い光と影のなかに潜む、生き物たちの熱い鼓動を聞けるのではないでしょうか。

季節は「秋」から「冬」へ。撮り下ろしの「里山」最新映像作品も公開!

《七色に輝く紅葉》岩手県八幡平市 2012年 作家蔵

二十歳を過ぎて田んぼに通ったことをきっかけに、今森は秋が好きになったと言います。そして秋になると沖縄本島からさらに南下した、八重山群島をよく訪ねるようになりました。

第3章「秋」で紹介されるのは、八重山と紅葉する山々の景色を中心とした約50点の作品です。「台風シーズンなので敬遠されがちな季節なのだが、その風に乗って東南アジア方面から普段見られない熱帯の蝶が迷い込んでくる。それを狙っての長旅だった。」(※)と語る今森。いわゆる本州とは異なった島の秋を見られることでしょう。

《真冬の渓流》青森県十和田市 2013年 作家蔵

第4章の「冬」では、阿蘇の野焼きや赤牛の世話をする人、田んぼを飛ぶマガモとアオサギなど、約40点の作品が展示されます。厳しい寒さの中においてもなお、人や生き物の気配を感じさせる冬。そうした冬の田園が生みだす静謐な美しさは、ほかの季節ではない魅力と言えます。

今春撮り下ろしの「里山」最新映像作品にも注目です。撮影場所は今森の活動拠点である、滋賀・湖西地域のアトリエを囲む「オーレリアンの庭」。約35年前に開墾をはじめると、現在も約1000坪の敷地に生きものが集まる庭を造り続けています。なお今森は近年、環境農家、またガーデナー、あるいは里山環境プロデューサーとしても活動してきました。

《豊漁を祈る》三重県紀北町 2012年 作家蔵

「里山をめぐる旅は、心の中に眠っている記憶をひとつひとつ呼び覚ましてゆくことなのかも知れない。」(※)と言う今森。そのライフワークの集大成として、過去最大の約190点の作品が紹介される『今森光彦 にっぽんの里山』にて、あなたのまだ知らない里山の魅力を再発見してください。

※「今森光彦 にっぽんの里山」展覧会図録より

展覧会情報

『今森光彦 にっぽんの里山』 東京都写真美術館 2階展示室
開催期間:2024年6月20日(木)~9月29日(日) 
所在地:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
アクセス:JR恵比寿駅東口より徒歩約7分。東京メトロ日比谷線恵比寿駅より徒歩約10分。
開館時間:10:00~18:00(木・金は20時まで)
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
入館料:一般700円、学生560円、中高生・65歳以上350円、小学生以下無料。
公式サイト:『今森光彦 にっぽんの里山』

【写真7枚】『今森光彦 にっぽんの里山』過去最大の約190点の作品が公開! を詳しく見る
はろるど

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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