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EVENT

2024.6.24

ポール・ケアホルム展時代を超えたミニマリズム:デンマークの家具デザイナー

2024年6月29日(土)〜 9月16日(月・祝)まで、汐留パナソニック美術館では、『織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠 ポール・ケアホルム展時代を超えたミニマリズム』が開催されます。

ポール・ケアホルム 《PK 0》 1952年  成型合板(塗装)  織田コレクション/北海道東川町蔵  撮影:大塚友記憲

20世紀デンマークを代表する家具デザイナーである、ポール・ケアホルムによる主要作品を網羅した、日本の美術館では初めての展覧会をご紹介します。

ポール・ケアホルムについて

ポール・ケアホルム  1953年  Photo courtesy of FRITZ HANSEN

本展で紹介するポール・ケアホルム(1929〜1980年)は、20世紀デンマークを代表する家具デザイナーです。

彼はデンマーク北部のオスターヴロ生まれ。19歳で木工家具製作のマイスターの資格を取得した後、コペンハーゲン美術工芸学校で工業デザインを学びます。在学中にはデンマーク家具デザインの第一人者とされるハンス・J・ウェグナーの事務所に勤務。卒業後は家具デザイナーとして活躍する一方、デンマーク王立芸術アカデミーで教鞭を執りました。

デンマークの木工家具製作の伝統を継承しながら、スチールに代表される当時の新しい工業材料に関心を持ったケアホルムは、素材の特性をいかした徹底的にシャープなデザインを追求します。

それまでに見られなかった精緻な家具の構造や異素材の組み合わせを具現化し、51歳で亡くなるまでの約30年間に、PK22など、今日に至るまで愛好される名品を数多くのこしました。

本展覧会について

ポール・ケアホルム  《エレメントチェア(PK 25)》 1951年 スチール、フラッグハリアード 織田コレクション/北海道東川町蔵  撮影:大塚友記憲

本展は、長年にわたり椅子研究と収集を続けてきた織田憲嗣氏(東海大学名誉教授)のコレクションを中心に、ケアホルムの主要作品を網羅した、日本の美術館では初めての展覧会となります。

織田コレクションを有する北海道東川町の協力のもと、家具約50点と関連資料を紹介するとともに、ケアホルムのデザイン哲学と洗練された家具の造形美を、気鋭の建築家・田根剛氏(ATTA)の会場構成によりお楽しみいただきます。

20世紀デンマークを生きた異才のデザイナー、日本の美術館で初めての本格的な展覧会

ポール・ケアホルム 《PK 22》 1956年  スチール、革 織田コレクション/北海道東川町蔵  撮影:大塚友記憲

ポール・ケアホルムは1950年代から70年代にかけて活動しました。

51歳で亡くなるまでの約30年間に生み出した家具デザインは、素材の特性をいかしたミニマリズムを極め、洗練された不朽の名作として、特に建築やデザインの分野で高く評価されてきました。

日本国内でも北欧デザインに対する多様な視線が注がれる中、本展は国内美術館でケアホルムを本格的に紹介する初の展覧会として、代表的作品が一堂に会する貴重な機会となります。

織田コレクションが語るケアホルムの魅力

ポール・ケアホルム 《PK 26》 1956年  スチール、羽毛、麻、革  織田コレクション/北海道東川町蔵  撮影:大塚友記憲

本展は、北海道東川町が有する「織田コレクション」を中心に展示構成します。

「織田コレクション」は、椅子研究家の織田憲嗣氏が収集した、北欧を中心とする20世紀デザインの家具や日用品、関連資料などがベースです。系統立てて形成された、資料性の高い国内有数のデザインコレクションとして知られています。

今回の展示では、収集と研究とともに、日常生活で実際に名作家具を使用する織田氏の、使い手ならではの視点で抽出されたケアホルムの魅力を味わっていただきます。

現代のクリエイティブによるユニークな鑑賞空間

ポール・ケアホルム  《PK 24》 1965年  ステンレス、籐、革  織田コレクション/北海道東川町蔵  撮影:大塚友記憲

パリを拠点に世界的に活躍する建築家、田根剛氏(ATTA)と協働して会場を構成します。

展示では作品一つ一つの構造やディテールに焦点を当てるとともに、収集家である織田氏の視線を通して浮かび上がるケアホルムデザインの美に迫ります。

織田氏が語り伝える言葉や、グラフィックデザイナー・イラストレーターとしての一面も持つ氏が描いたケアホルム家具のイラストなどもあわせて紹介し、来場者のケアホルム体験が深められるよう趣向を凝らします。

最後に

ポール・ケアホルム 自邸にて  1961年頃  Photo courtesy of FRITZ HANSEN

椅子は、私たちにとって最も身近な道具の一つです。その造形は、座るための合理的な機能を追求したかたちでありながらも、彫刻作品のような自律した美しさを宿しています。

とりわけ前世紀の優れた建築家やデザイナーが手がけた椅子は、時代を超える名作として浸透し、近年ますます関心が高まっています。

会場では、実際にケアホルムデザインの椅子に座ってご体験いただけるコーナーもご用意されていますので、ぜひそのミニマルで清潔な造形に凝縮され、国内の愛好家の間でも根強く支持されている、彼の美学に触れてみてはいかがでしょうか?

展覧会情報

織田コレクション 北欧モダンデザインの名匠
ポール・ケアホルム 時代を超えたミニマリズム
会期:2024年6月29日(土)〜 9月16日(月・祝)
会場:パナソニック汐留美術館
開館時間:午前10時~午後6時(ご入館は午後5時30分まで)
     ※7月5日(金)、8月2日(金)、9月6日(金)、13日(金)、14日(土)は夜間開館 午後8時まで開館(ご入館は午後7時30分まで)
休館日:水曜日(ただし9月11日(水)は開館)、8月13日(火)〜16日(金)
入館料:一般:1,200円、65歳以上:1,100円、大学生・高校生:700円、中学生以下:無料 
※障がい者手帳をご提示の方、および付添者1名まで無料でご入館いただけます。
展覧会ホームページ:ポール・ケアホルム 時代を超えたミニマリズム

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新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

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