EVENT
2021.9.7
謎の芸術家バンクシーの世界を没入体験!『バンクシーって、誰?』展
世界中のストリート、 壁、 橋などを舞台に、神出鬼没に出現する謎の芸術家であるバンクシー。
近年では、少女と赤い風船を描いた作品が高額落札されると、額に仕込まれていたシュレッダーが突如作動して細断。瞬く間に世界中で報道され、話題をさらいました。日本では、バンクシー作品と思われるネズミの絵が発見されると、大手メディアやSNSで拡散、国内の認知度が上がりました。
そんなバンクシーの作品世界に没入体験できる、寺田倉庫にて開催中の『バンクシーって、誰?』展をご紹介します。
謎に包まれたグラフィティアーティストのバンクシー(Banksy)とは?
現代のストリートで表現をつづける覆面アーティストである、バンクシー(Banksy)。
現在はイギリスを拠点に活動しており、テーマパークをはじめ、宿泊施設や映画制作など、その活動は多岐にわたり、特にステンシル(型版)を使用した独特なアートと、 それに添えられるエピグラム(警句)は、彼の代表的な活動スタイルです。
移民や人権、消費社会への警鐘など、政治的・社会的テーマを積極的に取り上げ、風刺的でダークユーモアに溢れた作品や声なき人々を支援するバンクシーの作品は、社会問題に根ざしたものとして高く評価されています。
世界各地に現れては絵を描き上げて、誰にも気づかれずに立ち去ることから、「芸術テロリスト」と呼ばれており、未だに創作活動の全貌や動機など、その真相が分かる者は依然少なく、謎に包まれた存在です。
映画のセットのような美術展
本展は、彼が世界中で発表してきた作品を一堂に集めた、まるで“玩具箱をひっくり返した”ような内容です。
美術館とは異なる会場空間では、世界中に分散するバンクシーのストリート・アートの代表作品を、テレビ局の舞台美術チームがリアルサイズに再現!
バンクシーのストリート作品を見るために世界一周の旅へ出なくとも、故郷イギリスのブリストルからロンドン、映画にもなったニューヨークでの活動や自主企画で一世を風靡したロサンゼルス、そして幾度も訪れては作品を残しつづけている中東、活動の3大地域と言われる国々の街並みを体感することができます。
順路に歩を進めて巡ることができる都市や国々から、それぞれが抱えている政治や社会問題に対して、バンクシーが作品に込めたアイロニカルなメッセージが伝わってきます。
秘蔵のオリジナル作品も一挙公開
ⒸNTV Banksy, Congestion Charge 2004, Paul Smith Collection
会場では、ストリートや美術館でも見ることのできない、プライベート・コレクター秘蔵のオリジナル作品も一挙公開。
今回特別出展としてイギリスのファッション・デザイナーで、アートに造詣が深くバンクシー好きとして知られる、ポール・スミス氏からお借りする希少な油彩画《コンジェスチョン・チャージ》も必見。
無名の画家が描いた田園風景にバンクシーが「C」の標識を描き加えた本作は、既存の作品に描き足すことで本来の意味を変える「デトーナメント(転用)」手法を使ったシリーズです。
その他にも、キャンバス、段ボール、鉄板、木板、紙、石の彫刻、リトグラフ、ポスター、アルバム・ジャケットのほか、バンクシーの作品制作風景を収めた写真を含め、多種多様な表現手法や出展品も展示されています。
最後に…
ストリート・アーティストの先人でもあるキース・ヘリングやバスキアの次世代として、今最も世界で注目を集めている時代の先駆者ともいえる現代アーティストの“バンクシー”。
会場では、その彼が根ざしている活動や意味を幅広い世代に楽しく理解できる貴重な機会となっています。
私たちがバンクシー作品を楽しく見るだけの来場者で終わるのか、この世界に対して疑問を感じる反骨者になるのか、何かしらのアクションを起こすことが試されているように感じられることでしょう。
ぜひ本展に足を運んで、自分なりの答えを見つけに行ってみてください。
取材・撮影・文:新麻記子
「バンクシーって誰?展」
会期:2021年12月5日(日)まで
会場:寺田倉庫G1ビル(東京都品川区東品川2-6-4)
時間:11:00~20:00 金、土、祝前日は21:00まで ※最終入場は閉館時間の30分前まで
休館日:10月5日(火)、12日(火)、19日(火)
HP:https://whoisbanksy.jp/
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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
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