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2022.2.1

大阪に新たな美術館もオープン!『メトロポリタン美術館展』から『Chim↑Pom展』まで。2月に見たいおすすめ展覧会5選

新型コロナウイルスの変異株の爆発的感染拡大により、一部地域において美術館が臨時休館となるなどの影響が出ています。感染が落ち着いていた昨年秋から年末までとは状況が一変しました。

2月に見たいおすすめ美術展覧会について

一方で今月は新たに大阪中之島美術館がオープン。初来日作品も多い大規模な西洋絵画展や気鋭のアーティスト・コレクティブの回顧展など、見逃せない展覧会が少なくありません。おすすめの展覧会をご紹介します。

構想から約40年。新たに開館する大阪中之島美術館のオープニング展が見逃せない

大阪中之島美術館のオープニング展

2つの川に挟まれ、高層ビルが立ち並ぶ近未来的な景観が目を引く大阪・中之島。国立国際美術館や大阪市立科学館といった文化施設も点在するこの地に、2022年2月、大阪のみならず、日本と海外の代表的な美術作品を有する新たな美術館が開館します。

⼤阪中之島美術館のオープニングを飾る『Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―』では、6000点を超える収蔵品より約400点もの作品を公開。美術館構想の契機となった大阪の実業家、山本發次郎の旧蔵品をはじめ、モディリアーニからロスコ、バスキアといった西洋や現代美術、さらにロートレックやミュシャのクラシック・ポスター、アアルトなどの希少な家具が展示されます。

また収蔵に至るまでの過程や展示活動といった、作品にまつわる99のものがたりも紹介し、コレクションに親しみが持てるように工夫されます。実に構想が発表されてから40年。長年に渡って蒐集(しゅうしゅう)された、国内でも有数の質を誇るコレクションを存分に楽しめる機会となりそうです。

『Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―』 ⼤阪中之島美術館
開催期間:2022年2⽉2⽇(⽔)〜3⽉21⽇(⽉・祝)
所在地:大阪府大阪市北区中之島4-3-1
アクセス:Osaka Metro四つ橋線 肥後橋駅(4番出口)より徒歩約10分
開館時間:10:00~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(3月21日を除く)
料金:一般1500(1300)円、高校・大学生1100(900)円、中学生以下無料。
 ※日時指定事前予約優先制
https://nakka-art.jp

平和へのメッセージ。ドイツの作家エーリヒ・ケストナーの『動物会議』と現代アーティストとの協演

『どうぶつかいぎ展』 PLAY! MUSEUM

ドイツの作家、エーリヒ・ケストナー(1899〜1974年) による絵本『動物会議』(1949年)。ゾウ、キリン、ライオンなどのかわいらしい動物たちが主人公として登場する作品は、戦争を止めようとしない愚かな人間を痛烈に批判する物語として知られ、世界中の人々に親しまれてきました。

『どうぶつかいぎ展』では、作者エーリヒ・ケストナーとともに、『エーミールと探偵たち』や 『飛ぶ教室』などの名作を生み出したヴァルター・トリアーによる挿絵の複製原画を公開。ケストナーが作品に込めた普遍的なテーマを引き継いで紹介します。いまだ世界各地で紛争や軍によるにらみ合い、また市民への弾圧が続く中、平和へのメッセージを訴える内容となります。

と同時に、鴻池朋子や村田朋泰といった8名のアーティストが、ケストナーの物語から8つの場面を再解釈し、絵や立体、映像などで作品を制作。リレー形式の現代版『動物会議』として紹介されます。絵本ファンのみならず、現代美術ファンにも見ておきたい展覧会となりそうです。

『どうぶつかいぎ展』 PLAY! MUSEUM
開催期間:2022年2月5日(土)〜4月10日(日)
所在地:東京都立川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3
アクセス:JR立川駅北口・多摩モノレール立川北駅北口より徒歩約10分
開館時間:10:00〜18:00
 ※平日は17:00まで
 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:2月27日(日)
観覧料:一般1500円、大学生1000円、高校生800円、中・小学生500円、未就学児無料。
※同時開催の「ぐりとぐら しあわせの本」展の料金も含む
※平日は当日券のみ/休日は希望者に向けてオンラインチケットの日付指定券を販売
https://play2020.jp

話題の大型展がいよいよ東京へ!『メトロポリタン美術館展』で見る珠玉の西洋絵画コレクション

『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』 国立新美術館

1870年に創立されたアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館。世界の文化遺産を150万点余りを有し、当初は174点だったヨーロッパの絵画も長く寄贈や購入により拡充が続けられ、13世紀から20世紀初頭へと至る約2500点の絵画コレクションが築かれました。

展示ではヨーロッパ絵画から選りすぐりの65点を紹介。ラファエロ、ティツィアーノをはじめ、レンブラントにフェルメール、そしてモネ、ルノワール、ゴッホやセザンヌといった、15世紀の初期ルネサンスから19世紀のポスト印象派へといたる名作が公開されます。そうそうたるラインナップですが、そのうち46点が初来日というから、貴重な機会であるのはいうまでもありません。

すでに展覧会は先に大阪市立美術館にて開催され、大変な評判を呼びました。なお混雑緩和のため、観覧は事前予約制(日時指定券)です。当日のチケットも窓口で発売される予定ですが、枚数に上限が設けられています。あらかじめオンラインでチケットを購入しておくことをおすすめします。

・関連記事(※大阪展のレポート)
500年で変わったもの、変わらないもの。メトロポリタン美術館展に見る西洋絵画の歴史
https://irohani.art/event/5858/

『メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年』 国立新美術館
開催期間:2022年2月9日(水)~2022年5月30日(月)
所在地:東京都港区六本木7-22-2
アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅青山霊園方面改札6出口(美術館直結)。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分。
開館時間:10:00~18:00
 ※金・土曜日は20:00まで
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日。ただし5月3日(火・祝)は開館
料金:一般2100円、大学生1400円、高校生1000円
 ※事前予約制(日時指定券)。
https://met.exhn.jp

日本とオーストリアでマルチに活動。デザイナー、上野リチを知っていますか?

『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』 三菱一号館美術館

オーストリア・ハンガリー帝国の首都ウィーンで生まれた上野リチ(1893〜1967年)。長くウィーン工房のデザイナーとして働き、テキスタイルやファッションのデザインを手がけると、建築家の上野伊三郎と結婚。その後、京都へ移り住むと、2人で協働して住宅や店舗の内装デザインを行ったほか、図案の制作にも取り組み、後進の指導にあたるなど教育者としても活躍しました。

そうした日墺でマルチに活動したデザイナーの仕事を紹介するのが、『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』です。展示ではオーストリア応用芸術博物館/現代美術館(ウィーン)や京都国立近代美術館など、国内外の美術館から集められた約370件の作品が集結。鮮やかな色彩や自由な曲線を特徴としたデザイン画などが公開されます。その作品とともに、結婚後もキャリアを続けた上野リチの人生の歩みにも共感を呼びそうです。

なお展示はすでに京都国立近代美術館にて開催。『メトロポリタン美術館』展と同様に「イロハニアート」でも明菜さんがレポートされています。そちらもぜひご覧ください。

・関連記事
京都のウィーン人、上野リチ・リックスが生んだ魅力あふれるデザイン世界
https://irohani.art/event/5980/

『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』 三菱一号館美術館
開催期間:2022年2⽉18⽇(⾦) ~5⽉15⽇(⽇)
所在地:東京都千代田区丸の内2-6-2
アクセス:JR線東京駅丸の内南口より徒歩5分。都営三田線日比谷駅(B7出口)、東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口より徒歩3分。
開館時間:10:00~18:00
 ※祝⽇を除く⾦曜と会期最終週平⽇、第2⽔曜⽇、開館記念⽇の4⽉6⽇は21:00まで
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日。4⽉12⽇。ただしトークフリーデーの2⽉28⽇、3⽉28⽇、4⽉25⽇と、3⽉21⽇、5⽉2⽇、5⽉9⽇は開館。
料金:一般1900円、高校・大学生1000円、中学生以下無料。
 ※WEBにて日時指定券を販売。
https://mimt.jp/

クラウドファンディングも!社会へ切り込むアーティスト・コレクティブ「Chim↑Pom」の本格的な回顧展が開催

『Chim↑Pom展:ハッピースプリング』 森美術館

2005年に結成された6名のアーティストからなるChim↑Pom。都市問題や消費主義、貧困や震災、メディアや公共性など現代社会のあらゆる諸相を主題にして作品を制作し、これまでにもゲリラ的なパフォーマンスを含め、さまざまなプロジェクトを展開してきました。現場主義ならぬ社会へと深く介入し、ほかのアーティストとは一線を画すような独創性な活動が目立ちます。

結成17周年。初期から近年の代表作、それに本展のための新作を紹介するのが『Chim↑Pom展:ハッピースプリング』です。初めての本格的な回顧展で、都市と公共性、肉体、境界、ヒロシマ、東日本大震災などをテーマにインスタレーションが展開され、会期中にはイベントやパフォーマンスも行われます。複数の動線やアスファルトを用いた構成など、かつてないような驚きに満ちた展示となりそうです。

さて今回、Chim↑Pomが新たに取り組むのが、アートプロジェクト「くらいんぐみゅーじあむ」です。これは会期中、小さなお子さんがいる方も気軽に展覧会を楽しめるよう、オリジナルデザインの託児所を開設するもの。メンバーのエリイが、子育て中に美術館で体験したことを踏まえて考案されました。そして現在、託児所の運営費を募るクラウドファンディングも実施中です。支援金額により開設日が増える仕組みで、リターンとしてぬりえコンテストの参加権や招待券などが用意されています。

新アートプロジェクト「くらいんぐみゅーじあむ」
https://motion-gallery.net/projects/moriartmuseum_chimpom_2022

『Chim↑Pom展:ハッピースプリング』 森美術館
開催期間:2022年2⽉18⽇(⾦)~5⽉29⽇(⽇)
所在地:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー
アクセス:東京メトロ日比谷線六本木駅1C出口徒歩3分(コンコースにて直結)。都営大江戸線六本木駅3出口徒歩6分。
開館時間:10:00~22:00
 ※火曜日のみ17:00まで。ただし5月3日(火・祝)は22:00まで
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
料金:一般1800(1600)円、学生(高校・大学生)1200(1100)円、子ども(4歳〜中学生)600(500)円、シニア(65歳以上)1500(1300)円。
 ※平日料金。休日は一般・シニア200円、学生・子どもがそれぞれ100円増し
 ※事前予約制を導入。( )内はオンラインチケット料金。
https://www.mori.art.museum/jp/

※新型コロナウイルス感染症の状況等により、各展覧会の会期や時間の変更、事前予約など入場の方法が変わる可能性があります。最新の状況は各館のウェブサイト、公式Twitterアカウントなどでご確認ください。

【写真6枚】大阪に新たな美術館もオープン!『メトロポリタン美術館展』から『Chim↑Pom展』まで。2月に見たいおすすめ展覧会5選 を詳しく見る

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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