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2022.8.5

塩田千春展『巡る記憶』がスタート!【東アジア文化都市 】のコア事業が大分県別府市にて開催

大分県別府市にて、ベルリンを拠点に国際的に活躍するアーティスト・塩田千春の展覧会が開催されます。

Chiharu Shiota I hope..., 2021 Installation: rope, paper, steel Courtesy of K11 Art Collection Photo by Sunhi Mang ©JASPAR, Tokyo, 2022 and Chiharu Shiota

本展は『東アジア文化都市 2022 大分県』のコア事業の1つとして開催。別府駅周辺の2つの場所が、ダイナミックで繊細な作品空間へと生まれ変わります。また、より深くその世界観を体験できるよう、サテライト会場での資料展示や小冊子の発行(会期中盤より販売予定)も行うとのこと。

塩田千春とは?

Chiharu Shiota Berlin, 2020 Photo by Sunhi Mang

塩田千春は、2015 年に国際美術展『ヴェネチア・ビエンナーレ』(イタリア)の日本館代表に選出、2019 年に森美術館 (東京) で開催された個展には、同館歴代 2 位の記録となる約 66 万人が来場するなど、現在最も注目されているアーティストの1人です。

生と死、存在、記憶など人間の根源的な問いをテーマにした塩田千春の作品は、その圧倒的な作品体験とともに私たちの感情を強く揺さぶります。

コンセプトは「巡る記憶」

Chiharu Shiota The Key in the Hand, 2015 Installation: old keys, wooden boats, red wool Japan Pavilion at 56th Venice Biennale, Venice, Italy Photo by Sunhi Mang ©JASPAR, Tokyo, 2022 and Chiharu Shiota

本展覧会のコンセプトについて、塩田千春は次のように語っています。

「人間中心の生活から離れよう、と大地から湧き出る湯気を見て不意にそう思った。神社や教会など人々の祈りの場所も、戦争が起こる場所も、地球の引力や宇宙の大きなエネルギーによって作らされているだけなのかもしれない。

別府の大地は、ものすごい生命力に溢れていた。卸問屋だった場所では、まるで大地からの湯気が部屋の中まで湧き上がっているかのように白い糸で空間が覆われている。その糸をつたい、ポタポタと水が落ちては波紋ができて、水面は円を描いてだんだん影響されていく。

流れる涙も、落ちる水道の水も、肩に降る冷たい雨も、いつも生きている証拠だった。元中華料理屋では、赤い糸が店内を覆う。もう使われていないテーブルや椅子からは当時の店の様子がうかがえる。

糸が記憶を紡ぎ、不在となった部屋の記憶を呼び起こす。どちらの空間も、誰もいないのについさっきまで誰かがいたかのように不在の中の存在がある。この場所では人々の記憶が生きたまま湯気のように循環し続ける。」

別府の大地からインスピレーションを受けた作品制作の過程が伺えます。

既存の建物を活用したインスタレーション

BEP.Lab外観

小麦粉や砂糖などの食品を扱う卸問屋だった場所で、空間に編み込まれた白い糸とそこから滴る水によって構成された「循環」がテーマのインスタレーションを発表。また、本展のために制作されたドローイングや音を用いた作品なども展示されます。

新中華園ビル外観

さらに、大規模な宴会場を有する中華料理屋だった場所で、円卓やイスなど、かつての記憶を宿す「モノ」と赤いロープを用いたインスタレーションも発表されます。

まさに「記憶を巡る」鑑賞体験が待っているのでしょう。

2022 年『東アジア文化都市事業』の開催地は大分県!

今年の「東アジア文化都市事業」では、開催都市として日本は大分県、中国は済南市と温州市、韓国は慶州市が選出。

大分県では、『県民総参加で「おおいた」の文化を発信し、東アジアとの交流によって新たな文化を切り拓く』を開催テーマとして、5 月 22 日(日)大分県別府市にて開幕式典が行われました。今後も、混浴温泉世界実行委員会による塩田千春展の開催など、12 月の閉幕式典まで県内各地で様々な文化的イベントが催されます。

そもそも『東アジア文化都市事業』とは?

「アジア文化都市事業」は、日中韓 3 カ国において、芸術文化による発展を目指す都市を各国が選定し、その都市の芸術文化をはじめ、伝統文化、生活文化など多彩な芸術文化イベント等を1年にわたって実施するものです。

この事業を通じて、芸術文化はもとより、産業や観光の振興にも取り組み、都市の文化的特徴を生かしながら、都市の持続的な発展を推進します。日本ではこれまでに、京都市、奈良市、金沢市などで開催されてきました。

別府に日本を代表するアーティストを見に行こう!

『東アジア文化都市 2022 大分県』のコア事業の1つとして開催される本展覧会。美術館で鑑賞するのとはまた違う、場所の記憶とリンクした塩田千春の作品が見られるこの機会をお見逃しなく!

Chiharu Shiota The Key in the Hand, 2015 Installation: old keys, wooden boats, red wool Japan Pavilion at 56th Venice Biennale, Venice, Italy Photo by Sunhi Mang ©JASPAR, Tokyo, 2022 and Chiharu Shiota

『塩田千春展 巡る記憶』
会期: 2022年8月5日(金)〜10月16日(日)

休み: 火曜日、水曜日

時間: 11:00〜18:00
(最終入場17:30)
会場: 大分県別府市中心市街地

料金: 無料
Web: www.beppuproject.com/shiotachiharu

関連情報

大分県立美術館 (OPAM) にも塩田千春の作品が出展中!!

『国立国際美術館コレクション 現代アートの100年 ハロー、アート ! 世界に夢中になる方法』

現代アートに特化した国立国際美術館の名品・優品72点が一堂に会する本展。デュシャン、ウォーホル、草間彌生、奈良美智など、約100年におよぶ歴史から、感性を刺激する豊かな表現との出会いをお楽しみください。なお本展には塩田千春の作品『トラウマ/日常』が出展されています。『塩田千春展 巡る記憶』と併せてご覧ください。

会 場:大分県立美術館 1階 展示室A (大分市寿町2番1号)
会 期:2022年6月11日(土)~8月21日(日) ※休展日なし
10:00~19:00 ※金曜日・土曜日は20:00まで (入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般 1200 (1000) 円、大学・高校生 1000(800)円
主 催:大分県芸術文化スポーツ振興財団・大分県立美術館、国立国際美術館
https://www.opam.jp/exhibitions/detail/778

ベップ・アート・マンス2022が今秋開催!

今年で13回目を迎える市⺠文化祭。文化・芸術に関わるさまざまなプログラムが別府の町を彩ります。
会期:2022年10月8日(土)〜11月27日(日)
https://www.beppuartmonth.com


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イロハニアート編集部

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アートをもっと自由に、もっとたくさんの人に楽しんでもらいたいという想いから生まれたメディア。日々、アートのイロハが分かるコンテンツを配信しています。アイコンは「イロハニくん」。アートのそばに、ひっそりと棲んでいます。

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