STUDY
2023.9.5
開幕直前!「イヴ・サンローラン展 時を越えるスタイル」と一緒に鑑賞したい映画作品をご紹介!
2023年9月20日(水)〜12月11日(月)まで、国立新美術館で「イヴ・サンローラン展 時を越えるスタイル」が開催されます。
フランスが世界に誇るファッションデザイナーで、「モードの帝王」と呼ばれたイブ・サン=ローランの大回顧展として、ファッション界はもちろん美術界も注目をしています。
しかし、「イヴ・サンローラって何がすごいの?」「どんな生活をおくっていたの?」と疑問に思う方もいらっしゃるはず…展覧会だけでなく、映像作品からも、彼の人生に触れてみては?
2023年9月20日(水)~12月11日(月)に開催される国立新美術館「イヴ・サンローラン展 時を越えるスタイル」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
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『イヴ・サンローラン』(2010)
『イヴ・サンローラン』(2010)U-NEXT配信
一流デザイナーのイヴ・サンローランの輝かしい実績の裏に隠された繊細な素顔を、さまざまな映像や公私にわたるパートナーだったピエール・ベルジェのインタビューによって解き明かすドキュメンタリー。
映像では、ふたりで集めてきた絵画や彫刻など数々の高価な美術品を競売にかけながら、その作業のかたわらでピエールは彼と過ごした日々を静かに紡いでいきます。
中には、アルジェリア戦争におけるサンローランの兵役時代の痛ましい受難やドラッグ、彼がアルコール依存症に陥った狂乱の日々について言及するシーンも。
その他にも、彼のスタイルアイコンとミューズだったベティ・カトルーやルル・ド・ラ・ファレーズ、親交の深かった女優のカトリーヌ・ドヌーヴらの証言によって、サンローランの類まれな才能が語られます。同時に、抱えていた苦悩も…。
約50年間公私共にパートナーだったベルジェの生々しい証言、そして劇中に使用されている映像や写真素材の9割が初披露という貴重な映像なので、ぜひ機会があればご覧になってみてください。
【作品情報】
監督:ピエール・トレトン
脚本:ピエール・トレトン、エヴ・ギルー
出演:イヴ・サンローラン、ピエール・ベルジェ
上映時間:103分
『イヴ・サンローラン』(2014)
『イヴ・サンローラン』(2014)YouTube(購入 / レンタル)、U-NEXT
「モードの帝王」と呼ばれたイヴ・サンローランのキャリアや人生の光と影を描いた伝記ドラマ。本作では、イヴ・サンローランをピエール・ニネが演じており、その姿が若き日のサンローランそっくり!
元恋人で、ビジネスパートナーでもあったベルジェが主演のニネに対し、「まるで本人のよう」と評したことでも当時話題となりました。時折神経質にメガネの位置を直す仕草や、葛藤を押し殺して台詞を静かに囁く場面など、繊細で儚く今にも壊れそうな複雑な表現に注目してみてください。
こちらはメゾンが公式に認めた作品なので、サンローラン財団から貸し出された5000点にのぼる衣装の他にも、コレクション会場や邸宅も実際と同じところを使っているそうです。
【作品情報】
監督:ジャリル・レスペール
脚本:マリー=ピエール・ユステ、ジャック・フィエスキ、ジャリル・レスペール
主演:ピエール・ニネ
上映時間:106分
『サンローラン』(2014)
『サンローラン』(2014)
全作品のふたつとは異なり…本作品は、時代の寵児だったイヴ・サンローランの心の闇に迫る内容です。
アルコール、ドラッグ、愛人に走り、常に多大なプレッシャーにさらされていたサンローランが、最も創造的で同時に破滅的に生きていた、1960年代後半の10年間に焦点を絞って描かれているのがポイント。
こちらの作品はメゾンには認められず、自由(?)に作ることができたので、モンドリアンの絵画をイメージとしたカットや暴力的でショッキングなシーンなど派手な演出が多いのでご注意を!
主演は、両親の影響でモード界とも密な関係で、ディオールでモデルもつとめたことのある、ギャスパー・ウリエルが演じています。必要以上に仕草や声を本人に似せようとせず、モノマネ演技ではないアプローチで、サンローランの心の内面に迫った内容となっています。
【作品情報】
監督・脚本:ベルトラン・ボネロ
主演:ギャスパー・ウリエル
上映時間:151分
最後に…
今回は、「イヴ・サンローラン展 時を越えるスタイル」の開催とともに、「モードの帝王」であるイヴ・サンローランにスポットをあてた映画作品3つをご紹介しました。
ディオールのデザイナーをつとめた初期から、そのあとに続く兵役による苦難、自身のブランドを立ち上げて、数々のアイコニックなスタイルを生み出すも、その裏で酒や薬や恋に溺れていく様子など…イヴ・サンローランに光を当て、それぞれの映画が独自の視点で、ストーリーを展開していきます。
しかし、これは同時に極度の緊張とストレスから麻薬に溺れ、危険な夜遊びと愛人との浮気に逃避する、サンローランを幾度と優しく保護してきた、ベルジェ自身の愛の物語でもあると感じました。
これほどまでに息苦しく切ないラブ・ストーリーをご覧になってみてはいかがでしょうか?
2023年9月20日(水)~12月11日(月)に開催される国立新美術館「イヴ・サンローラン展 時を越えるスタイル」について詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
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