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2026.9.25
【横浜・没入型】ピラミッドに入り、建造の謎を追う。2つのXRで古代エジプトへ
目次
「XRで歩く」が珍しくなくなった今、何が違う?
ここ数年、「没入型」と呼ばれる展覧会やイベントが増えています。壁や床いっぱいに映像を投影するタイプに加え、最近ではヘッドセットを装着し、自分自身が仮想空間を歩き回るイベントも珍しくなくなってきました。
ここで簡単に「VR」と「XR」の違いを整理しておきましょう。
VR(仮想現実)は、ヘッドセットなどを通して仮想空間の中に入り込む技術。一方、XR(クロスリアリティ)は、VRに加えて、現実世界にデジタル情報を重ねるAR(拡張現実)や、現実と仮想空間を融合するMR(複合現実)などをまとめた総称です。つまり、VRはXRに含まれる技術のひとつという関係になります。
「IMMERSIVE JOURNEY(イマーシブジャーニー)」は、大型XR体験施設という位置づけ。終了したものも含め、都内でも『迷界デパート』や『永遠なるガウディ』、新宿・お台場の「TYFFONIUM」など、XRを使った体験はかなり多彩になってきました。
その中でIMMERSIVE JOURNEYを体験して感じたのは、ゲームの世界に入ったようなのに、ゲームのような操作をほとんど求められないことでした。
基本的にするのは、歩く、見る、聴く。自分が一歩進めば、仮想空間でも一歩進む。ゲームに例えるなら「コントローラーのいらないゲーム」といった感覚です。
特に印象的なのが奥行き感。壁の奥に通路があり、さらにその向こうへ巨大な空間が続いているように見える。実際の床は平らなのに、高い場所から下をのぞけば思わず足がすくみます。
さらに同行者も仮想空間の中に姿を現します。同じ景色を見て、同じ場所を歩き、同じタイミングで驚く。一人でXRを体験しているというより、みんなで同じ場所へ旅行している感覚に近いです。
他の参加者は白いシルエットとして確認できます ©Excurio
この2作品を制作したのは、フランス・パリを拠点とする「Excurio(エクスキュリオ)」。考古学や歴史、建築などの専門家と連携し、研究成果や現地で収集されたデータをもとに空間をつくっています。
『HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)』では、ハーバード大学のエジプト学者ピーター・デア・マヌエリアン教授と「ギザ・プロジェクト」が協力。ピラミッド内部のスケール感まで細かくつくられているため、「本当にピラミッドの中へ入ってきた」ような感覚が生まれます。
古代エジプトを舞台に体験できるのが、『HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)』と『The Secret of the Pyramid Builders ーピラミッド建造者の秘密ー』です。
1作目『HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)』――ピラミッドの中へ入る
最初に体験するなら、『HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)』がおすすめです。
舞台は、エジプト・ギザにそびえるクフ王の大ピラミッド。ガイド役の若きエジプト学者モナとともに内部へ入り、「王妃の間」などを巡っていきます。
約4500年前の古代エジプトへタイムスリップ ©Excurio
そして物語を盛り上げてくれるのが、古代エジプトの猫の女神・バステト。モナが解説しながら旅を導き、時空を超える力を持つバステトとの掛け合いによって物語が進んでいきます。二人の会話を聞きながら、自然に古代エジプトの世界へ入っていけるのも魅力です。
実際に身体をかがめて通り抜ける場面も。思わず身体が反応するほどリアルです ©Excurio
狭い場所を抜ければ巨大な空間が現れ、ピラミッドの高い場所まで上がれば眼下にはギザ台地。そして途中からは船に乗り、約4500年前の古代エジプトへ。ミイラ作りにかかわる防腐処理や、クフ王の葬送にまつわる場面なども登場します。
つまり「ピラミッドを見る」のではなく、「ピラミッドが造られたクフ王の時代へ行ってみる」作品なのです。
2作目『ピラミッド建造者の秘密』――今度は造った人々の側へ
『HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)』を体験すると、自然とひとつの疑問が湧いてきます。
「4500年前に、これをどうやって造ったの?」
その疑問を次の旅にしたのが、『ピラミッド建造者の秘密』です。
ガイド役の若きエジプト学者モナ(左)と、古代エジプトの猫の女神・バステト ©Excurio
1作目が「完成したピラミッドに入る」作品なら、こちらはピラミッドが造られていく過程を追う作品。大ピラミッド内部で確認された未知の空間を手がかりに、ダハシュールのネクロポリス、クフ王の父スネフェル王のピラミッド、紅海沿岸のワディ・エル=ジャルフなどを巡ります。
2作目でもモナとバステトが登場。二人の掛け合いに導かれながら、今度は「誰が、どのようにピラミッドを造ったのか」という謎を追っていきます。
1作目と同様、モナとバステトに導かれながら物語が進んでいきます ©Excurio
そこで目にするのは、王や神だけではありません。クフ王時代の役人メレルや宰相アンフハフなど、史料から知られる人物も登場します。
特に重要なのが「メレルの日誌」。クフ王の時代に、トゥーラ産の石灰岩が船によってギザへ運ばれていたことを伝える貴重な同時代史料です。
ただし、この作品は「ピラミッドはこうやって造られました」と正解を教えるものではありません。建設方法は現在も完全には解明されておらず、作品には「メレルの日誌」、近年確認された未知の空間、建築家ジャン=ピエール・ウーダンが提唱する建設理論など、現在分かっている事実とさまざまな仮説が組み込まれています。
ピラミッドがどのように建造されていったのか、その工程も見どころ ©Excurio
つまり、「ピラミッド建造の正解を見る」のではなく、「まだ答えの出ていない謎の中を歩く」。
1作目では巨大さに圧倒され、2作目では、それが人間たちの知恵と労力による途方もないプロジェクトとして見えてきます。
なお、2作品ともピラミッドの頂上まで登ったら、ぜひ足元にも注目してみてください。石の表面には、かつて実際にピラミッドへ登った人々が残した名前や文字などの落書きまで再現されています。
頂上から広がるギザの絶景に目を奪われがちですが、こうした細かな再現も見どころのひとつです。
「攻略するXR」ではなく「旅するXR」
2作品の物語は独立しているので、どちらからでも楽しめます。ただ、個人的には『HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)』→『ピラミッド建造者の秘密』の順がおすすめです。
巨大なスフィンクスを間近から眺めることもできます ©Excurio
1作目は、ピラミッドに入る旅。2作目は、ピラミッドが造られるまでを追う旅。
まず巨大さに圧倒され、「どうやって造ったのだろう?」と思ったところで建造者側へ回ると、2作品が一本の物語のようにつながります。
そしてIMMERSIVE JOURNEYの大きな特徴が、約45分という体験時間です。説明や準備を含めると、所要時間は約60分。
XRイベントには、敵から逃げたり、謎を解いたり、アイテムを使ったりするものもあります。一方、IMMERSIVE JOURNEYは何かを攻略するというより、ひとつの場所と時代をじっくり「旅する」ことに重点があります。
歩く。見る。聴く。同行者と同じ出来事を共有する。モナとバステトの掛け合いを聞きながら、約45分間、4500年前の世界を旅する。最初はヘッドセットを意識していても、景色が変わり、物語が進むにつれ、その存在が次第に気にならなくなっていきます。
ピラミッドを見るのではなく、その歴史の中を自分の足で歩く。
現地ではできない体験が楽しめるのもXRならでは ©Excurio
XRイベントが増えてきた今だからこそ、「攻略するXR」ではなく「旅するXR」というIMMERSIVE JOURNEYの違いが、よりはっきり感じられる体験でした。
開催概要
◆「HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)」「The Secret of the Pyramid Builders ーピラミッド建造者の秘密ー」IMMERSIVE JOURNEY(イマーシブジャーニー) 横浜
【開催期間】
「HORIZON OF KHUFU(ホライゾン・オブ・クフ)」2024年12月1日(日)~終了日未定
「The Secret of the Pyramid Builders ーピラミッド建造者の秘密ー」2026年6月15日(月)~終了日未定
【所在地】
神奈川県横浜市西区高島2-14-9 アソビル3F
【アクセス】
横浜駅みなみ東口通路直通
横浜駅東口より徒歩約2分
【営業時間】
10:00~20:00
※最終入場19:00
【体験時間】
約45分
※ヘッドセットの着脱や説明などに別途約15分
※入場から退場まで約60分
【体験料金】
一般チケット(3名まで)
平日:4,000円/1名
土日祝:5,000円/1名
グループチケット(4名以上)
平日:3,800円/1名
土日祝:4,500円/1名
【対象年齢】
8歳以上
※12歳以下のみでの入場はできません
※10歳以下、70歳以上の方には別途体験時の案内があります
【体験人数】
1グループ1~4名
※5名以上は複数のグループに分かれて体験
公式サイト:IMMERSIVE JOURNEY イマーシブジャーニー
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東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。
東京美術館巡りというSNSアカウントの中の人をやっております。サラリーマンのかたわら、お休みの日には、美術館巡りにいそしんでおります。もともとミーハーなので、国内外の古典的なオールドマスターが好きでしたが、去年あたりから現代アートもたしなむようになり、今が割と雑食色が強いです。
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