EVENT
2022.11.21
16年ぶりの待望の大回顧展!『大竹伸朗展』約500点もの圧倒的なボリュームと密度でみせる
大竹伸朗を知っていますか?
これまで猛々しい創作意欲でおびただしい数の仕事を手掛け、現在日本を代表するアーティストのひとりとして海外でも高評価を得ている現代アーティストです。
中央 奥:《バグレイヤー / 0と1の肖像》2000-2001年
そんな彼の初個展から40周年となる今年、半世紀近くに及ぶ創作活動を一挙に紹介する『大竹伸朗展』が東京国立近代美術館にて開催中です。展覧会の内容をご紹介します。
大竹伸朗って、どんな人?
《ダブ平&ニューシャネル》(コントロールブース)1999年 公益財団法人 福武会
大竹伸朗(おおたけ・しんろう)は、1980年代初めに華々しくデビューして以来、絵画、版画、素描、彫刻、映像、絵本、音、エッセイ、インスタレーション、巨大な建造物にいたるまで、さまざまなジャンルで活躍してきました。
異分野のアーティストとの協働を含む旺盛な制作活動から、現代アートの世界にとどまらない幅広い影響力を持ちながらも、現代アートの難解さや権威と一定の距離を取ってきたことなどもあり、主要美術館での大規模な個展は近年になってからのこと。
最近では、2012年のドクメンタと2013年のヴェネチア・ビエンナーレの二大国際展に参加したほか、国際的に重要な展覧会にも多数参加しており、現在日本を代表するアーティストのひとりとして、海外でも高い評価を得ています。
16年ぶり、待望の大回顧展
本展覧会は、2006年に東京都現代美術館で開催された「全景 1955-2006」以来となる大規模な回顧展です。
会場では、最初期の作品から近年の海外発表作品、そしてコロナ禍に制作された最新作まで、小さな手製本から巨大な小屋型のインスタレーション、作品が発する音など、およそ500点の作品による圧倒的なボリュームと密度で空間を埋め尽くします。
また、「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」という7つのテーマに基づいて展示構成されており、作品制作年の時系列にこだわることなく、大竹伸朗の作品世界に没入し、彼の創作エネレルギーを体感することができます。
主な出品作品をご紹介!
スクラップブック全71冊を一挙公開
大竹伸朗がほぼ毎日制作しているスクラップブックは、ノートや既製本にあらゆる印刷物を貼り込み、インクや絵の具を塗り重ねたもので、中には895ページ、重さ28.9kgものボリュームに及ぶ作品もあります。
2013年のヴェネチア・ビエンナーレには当時の最新作66冊目までが出品され、世界の注目を集めました。本展覧会では、1977年の1冊目から最新作の71冊目までを全て展示しています。
旅先で出会った人や、道で拾ったゴミ、さまざまなガラクタ、さらにはその場所のノイズや空気から触発されて作品を作るスタイルが確立していった重要な作品と言えるでしょう。
ドクメンタの発表作品が関東初上陸
5年に1度ドイツ・カッセルで開催される世界最大級の国際美術展である「ドクメンタ」へ、2012年に唯一の日本人として参加した大竹伸朗。
その際、現地で好評を博したネオンサイン、トレーラー、舟、ギター、映像、巨大なスクラップブックなど、ものと音が凝縮された小屋型のインスタレーション《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》(2012)が初めて関東で公開されています!
コロナ禍で生まれた最新作《残景 0》
左:《スクラップブック #59 / 平和島 / ロンドン》1999−2000年、右:《残景 0》2022年
2019年以降大竹伸朗が取り組んでいる「残景」シリーズの最新作《残景 0》(2022年)も初公開されています。
あわせて本作品の制作過程を追った「21世紀のBUG男 画家・大竹伸朗」(BS8K、2022年6月放送)を会場内で上映。大竹の創作の現場に初めて密着した貴重なドキュメンタリー映像です。
最後に…
出品作品の数もさることながら、じっくり見ると時間が足りなくなるほど! ぜひ時間に余裕を持って足を運ぶことをおすすめします。また、大竹伸朗展では「カタログポケット」というアプリで作品リスト、セクション解説、音作品を提供しています。ご来場前にインストールしてください(※展示室内ではご自身のイヤホンをご利用ください)。
特設ショップではスナック看板をモチーフにした代表作《ニューシャネル》(1998年)をはじめとした「大竹文字」Tシャツなどで人気を博す大竹伸朗のグッズが展開されています。大竹伸朗氏によるALLデザイン・監修によるこだわり抜いた展覧会オリジナルのニューグッズなどが多数登場しているのでぜひお手に取ってみてくださいね。
取材・撮影・文:新 麻記子
展覧会情報
大竹伸朗展
会期:開催中〜2023年2月5日(日)
会場: 東京国立近代美術館
開館時間 :10:00―17:00(金・土曜は10:00-20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日[ただし2023年1月2日(月・振休)および1月9日(月・祝)は開館]、
年末年始[12月28日(水)―1月1日(日・祝) ]、1月10日(火)
展覧会公式ホームページ:https://www.takeninagawa.com/ohtakeshinroten/
巡回展:愛媛県美術館 2023年5月3日(水・祝)〜7月2日(日)
富山県美術館 2023年8月5日(土)〜9月18日(月・祝)[仮]
画像ギャラリー
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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
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