EVENT
2023.4.13
遊び心いっぱいの建築やプロダクトを体感しよう!「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」
建築や建物について、どんなイメージを持っていますか? 四角く角張ってて、無気質な感じがして、何だかとっつきにくいイメージがある方もいらっしゃるのでは? …筆者はそうでした。
そんな建築や建物の固定概念を壊し、見ているとわくわくするデザインを生み出す、建築の展覧会「へザウィック・スタジオ展:共感する建築」が東京シティビュー(屋内展望台)にて2023年3月17日〜6月4日まで開催中です。
目次
ヘザウィック・スタジオが手がける革新的なプロジェクトと、彼らの熱い想いに触れることができる本展覧会をご紹介します。
へザウィック・スタジオとは?
ヘザウィック・スタジオは、ニューヨーク、シンガポール、上海、香港など世界各地で、建築、空間、革新的なプロジェクトを手掛ける、世界が熱い視線を集めているデザイン集団です。
創設者のトーマス・へザウィックは、子ども時代に心踊らせた職人の作った小さなものに宿る魂を、建築という大きな建物や空間にも込めることはできるのかという問いを原点としてスタジオを開きました。
英国で最も数多くの作品を手掛けているデザイナーのひとりである彼の20年超のキャリアのなかで、制作された多彩な作品群は、斬新さと独創性、人間味溢れるデザインが特徴です。
規模や場所、型式にとらわれることなく、さまざまなプロジェクトを手掛け、定説や定論よりも体験を尊重し、環境への負担を最低限に抑えつつ、人々の魂に訴えかけるような場所やモノを創り出しています。
展覧会の見どころ
日本初!ヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を紹介!
本展は、ヘザウィック・スタジオの主要プロジェクト28件を紹介する日本で最初の展覧会です。
モノや土地の歴史を学び、多様な素材を研究し、伝統的なものづくりの技術に敬意を払いながら、最新のエンジニアリングを駆使して生み出される空間は、誰も思いつかなかった斬新なアイデアで溢れています。
新型コロナウイルスのパンデミックを経て、私達が都市や自然環境との関係性を見直すなかで、ヘザウィック・スタジオのデザインは、来る時代に見合う、これまで以上に豊かな示唆を与えてくれるでしょう。
6つのセクションで構成されるヘザウィック・スタジオの取り組み
会場の展示は、「ひとつになる」「みんなとつながる」「彫刻的空間を体感する」「都市空間で自然を感じる」「記憶を未来へつなげる」「遊ぶ、使う」の6つの視点で構成されています。
ヘザウィック・スタジオのデザインは、自然界のエネルギーや建築物の記憶を取り込み、都市計画のような大規模プロジェクトもヒューマン・スケールが基準となるという信念に基づいています。
その根底には、プロダクトや建築物というハードのデザインよりも、人々が心豊かで充実した空間体験を提供することで、持続的なプラスの効果を生み出していくことを目指しているという理由があります。
遊び心いっぱいの人間味溢れるプロダクトを体験しよう!
会場ではヘザウィック・スタジオが、50年ぶりにロンドン市内を走る、二階建てバスのデザインをリニューアルし、高さ4mを超える原寸大模型(部分)を展示しています。
その他にも、人が座ると弧を描きながら360度回転する彫刻作品のような椅子《スパン》や、走行中に空気を浄化する電気自動車《エアロ》などもご覧になることができます。
ヘザウィック・スタジオがデザインした、遊び心いっぱいの人間味溢れるプロダクトを、ぜひ会場で体感してみてください。
人も、生物も、建築も、“多様性” がキーポイント!
創設者のトーマス・へザウィックはTEDにおいて、「近年の新しい建築はシンプルで個性がなく、そんな建物に囲まれていると退屈という病が蔓延し、精神的に悪影響をもたらしてしまう」と言っています。
確かに、都市部の建物は冒頭で話したとおり、無気質な感じがして、どこかとっつきにくく、本能的に苦手意識を持ってしまう気持ちが彼の発言から理解できました。
続けて、「自然界においても生物多様性が重要である、つまりそれは建築も同じです」とも語っています。
これは利便性や機能性を重んじている現代の私達にとって、忘れさられた感情を思い起こさせる言葉で、多様性の重要性についてあらためて考えさせられました。
人々が集い、親しみ、楽しむという意図的配慮のもと、新しいアイデアを実現していく彼らの仕事から、人間の心を動かす優しさ、美しさ、知的な興奮、共感をもたらす建築に触れてみてください。
取材・撮影・文:新麻記子
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https://irohani.art/news/12883/
展覧会情報
ヘザウィック・スタジオ展:共感する建築
会期:2023年3月17日〜6月4日
会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
住所:東京都港区六本木6-10-1
電話番号:050-5541-8600
開館時間:10:00〜22:00 ※入館は21:00まで
休館日:会期中無休
料金:[当日] 一般 2000円(2200円) / 高校・大学生 1400円(1500円) / 4歳〜中学生 800円(900円) / 65歳以上 1700円(1900円) ※()内は土日祝価格
主催:森美術館
Webサイト:https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/heatherwick/
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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
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