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2021.10.11

ファン・ゴッホの初期から晩年期まで網羅的に画業を辿る『ゴッホ展-響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』

今尚、小説や映画などの題材になるほど世界中で人気を誇る、『ひまわり』や『星月夜』などの名画を生み出した、フィンセント・ファン・ゴッホ。

先日、イロハニアートではちょっと変わっている彼の魅力的な側面に触れられる記事を掲載しましたが…

そんな天才・奇才の魅力に取り憑かれ、芸術性に深い精神性を見出し、その感動を多くの人々と分かち合うべく収集した、ヘレーネ・クレラー゠ミュラーもそのひとり。

こちらの記事では、東京都美術館にて開催中の『ゴッホ展-響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』をご紹介します。

ゴッホの芸術性に魅了されたヘレーネ

フローリス・フェルステル《へレーネ・クレラー=ミュラーの肖像》1910年 クレラー=ミュラー美術館フローリス・フェルステル《へレーネ・クレラー=ミュラーの肖像》1910年 クレラー=ミュラー美術館

フィンセント・ファン・ゴッホ(1853―1890)に魅了され、その世界最大の個人収集家となったヘレーネ・クレラー゠ミュラー。

まだファン・ゴッホが評価の途上にあった1907年からへレーネは近代絵画の収集をはじめ、鉄鉱業と海運業で財をなした夫アントンの支えのもと、11,000点を超える作品を入手しました。

その中でも、当時無名だったファン・ゴッホの芸術に深い精神性を見出したヘレーネは、90点を超える油彩画と約180点の素描・版画を収集。

その感動を多くの人々と分かち合うべく、人生で最良のものを未来に残したいと、生涯にわたり美術館設立に情熱を注ぎ、美術館設立により作品を公開・継承したことで、ファン・ゴッホの評価形成に重要な役割を果たしました。

フィンセント・ファン・ゴッホ《レモンの籠と瓶》1888年5月 クレラー=ミュラー美術館フィンセント・ファン・ゴッホ《レモンの籠と瓶》1888年5月 クレラー=ミュラー美術館

本展覧会では、ヘレーネが初代館長を務めたクレラー=ミュラー美術館からファン・ゴッホの油彩28点と素描・版画20点に加え、同じくオランダにあるファン・ゴッホ美術館から油彩画4点が特別出品され、ファン・ゴッホの作品計52点が展示されています。

ファン・ゴッホの初期から晩年までの画業を網羅的にたどりながら、一部作品(キャプション)にはヘレーネと作品にまつわるエピソードが記載されおり、作品への理解がより深まる面白い展示内容となっています。

初期から晩年までの画業を網羅的に辿る

初期のオランダ時代(エッテン、ハーグ、ニューネン)に描いた素描や版画の展示

会場では、初期のオランダ時代(エッテン、ハーグ、ニューネン)に描いた素描や版画から、フランス時代(パリ、アルル、サン=レミ、オーヴェール=シュル=オワーズ)に描いた油彩画まで、ヘレーネが収集したファン・ゴッホ作品から、彼の画業を網羅的に辿ることができます。

ファン・ゴッホの作品スタイルの変遷を時代毎で紹介しているので、どの時代にどの場所でどんな絵画ジャンルに影響を受けたのかを、照らし合わせてみると新たな発見に気づけるかも。

左フィンセント・ファン・ゴッホ《女の顔》1884年11月-1885年1月    右フィンセント・ファン・ゴッホ《白い帽子を被った女の顔》1884年11月-1885年5月    いずれもクレラー=ミュラー美術館左フィンセント・ファン・ゴッホ《女の顔》1884年11月-1885年1月    右フィンセント・ファン・ゴッホ《白い帽子を被った女の顔》1884年11月-1885年5月    いずれもクレラー=ミュラー美術館

例えば、ファン・ゴッホが油彩画を本格的に制作するより以前に描いていたとされるオランダ時代では、男女をモデルに様々な姿を捉えた陰影に焦点をあて、バルビゾン派やハーグ派の影響から暗くて重い色調の作品が登場。

その後のフランス時代では、当時パリを台頭していた新印象派や浮世絵に触れ、それまでの作風を一変させて明るい色調を用いた作品がご覧になれます。

また、画を描くことに不慣れでバランスもおぼつかない初期作品から、生き生きとダイナミックなタッチで描かれる晩年期の作品まで、ファン・ゴッホが画家になろうと決意してから10年間の軌跡から、“天才”と言われるまでの努力に触れられることでしょう。

本展覧会の見どころ作品

フィンセント・ファン・ゴッホ《種をまく人》1888年6月17日-28日頃 クレラー=ミュラー美術館フィンセント・ファン・ゴッホ《種をまく人》1888年6月17日-28日頃 クレラー=ミュラー美術館

中でも見どころとなるのは本展メインビジュアルに起用されている、16年ぶりに来日を果たした糸杉の傑作《夜のプロヴァンスの田舎道》。

ファン・ゴッホが南仏サン=レミに滞在した時期に、繰り返し描いてきた糸杉や星空のモチーフを熟練させた、南仏滞在の集大成といっても過言ではない作品です。

豊かな緑色をはじめとする力強い色彩表現の探求や、光源がない闇夜を記憶や想像力で美しく塗り替えました。

最後に

シナモロールとのコラボグッズ

会場に併設された展覧会特設ショップでは、シナモロールとのコラボグッズや、お洒落すぎる低糖質スイーツ「ゴッホ缶」などが販売。

ファン・ゴッホ好きの方はもちろん、まだあまりファン・ゴッホのことを知らない方も、どうして世界中の人々が彼の魅力に取り憑かれてしまうのか、ぜひ足を運んでその目で確かめてみてくださいね。


取材・撮影・文:新麻記子

『ゴッホ展-響きあう魂 ヘレーネとフィンセント』
会期:2021年9月18日(土)~12月12日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
休室日:月曜日
   ※ただし、11月8日(月)、22日(月)、29日(月)は開室
時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
料金:一般 2,000円 / 大学生・専門学校生 1,300円 / 65歳以上 1,200円
   ※本展は日時指定予約制です。詳細は公式WEBサイトをご覧ください
   ※高校生以下は無料(日時指定予約が必要です)
   ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料(日時指定予約は不要)
   ※いずれも証明できるものをご提示ください
展覧会公式サイト:https://gogh-2021.jp

新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

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