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2021.10.15
「大原美術館コレクション」日本初の私立西洋美術館 世界の貴重な名画が大集結!
伝統的な建物が作り出す町並みや、倉敷川沿いのレトロモダンな風景など、趣ある景観が楽しめる岡山県・倉敷美観地区。
そんな岡山県の人気スポットに佇んでいる大原美術館では、国内外の貴重な名画だけでなく、古美術や現代美術も展示されています。
豊富な近現代美術のコレクションが堪能できる大原美術館をご紹介します。
大原美術館とは?
伝統的な建物が作り出す町並みや、倉敷川沿いのレトロモダンな風景など、趣ある景観が楽しめる倉敷美観地区にあり、歴史とアートが交差する美しいこの土地のシンボリックな存在である、大原美術館。
地元の実業家である大原孫三郎(おおはらまごさぶろう)が、岡山県出身の洋画家・児島虎次郎(こじまとらじろう)を通じて作品収集させ、1930年に日本初の私立西洋美術館として設立しました。
美術館は「本館」「分館」「工芸・東洋館」3つの建物に分かれており、20世紀・21世紀の西洋美術や日本美術、民藝、東洋古美術、古代オリエント・イスラム、ヨーロッパの古美術など、多岐にわたるジャンルの作品がご覧になれます。
今回、コロナ禍でエリアを縮小していることもあり、「本館」を中心にレポートします。
世界でも有数の名画がズラリ!とならぶ展示室
第一展示室では、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴーギャンなど、印象派を代表する画家たちによる数多くの名画が展示されています。
その中でも、特に注目して欲しいのがクロード・モネが晩年期に描いた『睡蓮』。
大原美術館の設立に貢献した児島虎次郎が、モネのジヴェルニーにあるアトリエを訪問し、本人から特にお気に入りだった作品を譲ってもらったという面白いエピソードがあるんです!
そんな作家と買い手の知られざる作品の裏側に触れられるのも大原美術館ならではの良さですね。
第一展示室から開放感ある吹き抜けに移動し、階段を登って第二展示室に移動すると、そこにはフォーヴィスムのマティスやキュビスムのピカソなど、20世紀を代表する有名画家たちの作品がご覧になれます。
そして、大原美術館を訪れたら必ず鑑賞していただきたいのがエル・グレコの『受胎告知』。
かぎりなく深い神秘的な闇に包まれた夜空に、突然眩いばかりの光芒を発して天使が登場し、キリストを身ごもったことを聖母マリアに告げる、ドラマティックなワンシーンを描いています。
グレコ作品を国内で鑑賞できるのは岡山の大原美術館と東京の国立西洋美術館の2館しかないんです!
その他、本館のエリアでは藤田嗣治や青木繁など日本近代美術を代表する画家の絵画作品や、普段は「分館」にて鑑賞できる現代美術の絵画作品など、絵画・彫刻合わせて約90点を常時展示しています。
「工芸・東洋館」にある民藝や古美術にも触れてみよう!
大原美術館は、近代の西洋絵画や日本絵画が楽しめる「本館」だけでなく、民藝、東洋古美術、古代オリエント・イスラム、ヨーロッパの古美術が鑑賞できる「工芸・東洋館」もおすすめです。
20世紀の美術を代表する版画家の棟方志功や、画家兼デザイナーのバーナード・リーチなど、日本の民芸運動を支持した作家たちの陶芸作品などが展示。
「工芸館」とつながる「東洋館」では、児島虎次郎が中国・朝鮮半島・エジプトを訪問し、収集した仏像や古美術などがご覧になれます。
紀元前の器、大きな石仏など、貴重な品がたくさんありました。
最後に…
今回、取材に訪れたタイミングがよかったのか…「工芸・東洋館」の入口の池にはモネの邸宅から株分けされた睡蓮が咲いていました。
先述にもあるように、児島虎次郎がモネ本人と交流があったことを考えると、日本にもたらしてくれた文化的財産だけでなく、日本とヨーロッパの橋渡しとなる役割を担ってくれていたのだと想像できます。
大原美術館を訪れた際には、本物の西洋絵画に触れる機会が少なくなった時代に、絵画を学ぶ人たちのために優れた作品をもたらしてくれた、大原孫三郎と児島虎次郎の2人の友情に思いを馳せながら、絵画鑑賞を楽しんでみてください。
取材・文:新麻記子
撮影:樋口代華
大原美術館
住所:岡山県倉敷市中央1丁目1-15
開館時間: 9:00~15:00(入館締め切りは14:30)
2021年10月の定休日: 10月4日(月)、11日(月)、18日(月)、25日(月)
料金:大人1500円、高校・中学・小学生500円
公式サイト: https://www.ohara.or.jp/
※新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休館が続いていましたが、2021年9月28日(火)より営業再開。現在は時間を短縮して開館中(分館は引き続き閉館)。11月以降の開館時間などは、10月20日頃に美術館公式HPにて公開予定。状況により変更の可能性があるため、お出かけ前に必ず公式HPやSNSをご確認ください。

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。
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