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INTERVIEW

2022.5.17

合い言葉は“アートはみんなのもの”、デザインフェスタ運営が語る「出展者と参加者への思い」とは

1994年から始まったアートイベント「デザインフェスタ」が、2022年5月21日(土)、22日(日)に東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催されます。来場者数は約6万人。画家、バンド、ダンサー、小物作家、大道芸人、写真家、詩人などなど、さまざまなアーティストが集まる、アジア最大級の“アートのお祭り”です。わっしょいわっしょい。

合い言葉は“アートはみんなのもの”、デザインフェスタ運営が語る「出展者と参加者への思い」とは

今回の「Vol.55」はデザフェス28年の歴史でも、史上最大規模の開催となります。そこであらためて今回はデザインフェスタ有限会社、広報の新井江里(あらいえり)さんにインタビュー。「アーティストへの想い」「なぜこのタイミングで規模を拡大したのか」などを伺いました。

デザフェスが大事にする「アートはみんなのもの」という考え

合い言葉は“アートはみんなのもの”、デザインフェスタ運営が語る「出展者と参加者への思い」とは

――Vol.54で会場のレポを書かせていただいたんですが、Twitter上でも「行けなくて残念だったから、せめてレポを読む」という方もいました。あらためてデザフェスは愛されてるイベントだなぁ、としみじみ思いましたね。

そうですね。私も前回の記事を読ませていただきました。「行きの電車内でデザフェス参加組だとわかって、勝手に親近感が湧く」ってところが面白かったです(笑)。現地に着く前から、わくわくできるイベントになっているといいなぁ、と思います。

――それはもう、間違いなくそうです。デザフェスは規模が大きいし、何よりあの現場の“わちゃわちゃ感”がたまらない。画家、小物作家、ダンサー、バンド、コスプレイヤーなどなど、いろんな人が好きに表現している空間は他にないなぁ、と。

そうですね。これはデザインフェスタ運営スタッフの総意であり、私個人としても大事にしているのですが、「アートはみんなのもの」という考えが根本にあります。だから「オリジナル作品であれば無審査で出展可能」としているんです。

その結果、あの混沌とした場所が完成しているというか……(笑)。手前味噌ですが、「誰もが自由」な素晴らしい場だと思いますね。

――なるほど。特に初めて行く人は一発で圧倒されると思うんですが、来場者の方からのリアクションはいかがでしょうか。

Vol.54の際に私の家族が初めて来たんですけど、姉が「いや……もう予想以上にカオスだった……」とびっくりしてましたね(笑)。もちろん、すごく楽しんでいたみたいです。

それと帰宅する来場者の方が「戦利品」といって、購入した作品をSNSで発信してくださっています。私のほうでもツイートはすべて見させていただいていて……。皆さん、ホクホクで帰られているのを観ると、嬉しくなりますね。

運営スタッフも何かしらのアーティスト! だから分かる「アートの自由さ」

――先ほど、新井さん個人としても「『アート表現は自由』という考えに共感している」とありました。この考えが生まれた背景を伺ってもいいですか。

私自身がコラージュ作品を制作しているんです。美大を出ているわけではないのですが、ときどきギャラリーなどで展示をしています。

だんだんとアートに関しても「多様性を認める風潮」に変わっていると思いますが、作り手として自由に表現できる場所はまだまだ限られていると感じているんです。

例えば多くのギャラリーでは作品の審査があります。その際にギャラリーの支配人の感性によって作品が選ばれてしまう。学歴によってアーティストを判断するギャラリーもまだまだあると思っています。また、何かアートのイベントがあるときもキュレータ―やディレクターの好みによって、参加アーティストが選ばれることがほとんどだと思うんですね。

合い言葉は“アートはみんなのもの”、デザインフェスタ運営が語る「出展者と参加者への思い」とは新井さんのコラージュ作品

――確かにその通りだと思いますね。今だと「SNSのフォロワー数」で参加可否を決定するところもあると聞きます。「表現したい」という気持ちをなかなか発散できない。

ですよね。それで私も「好きなように作品を表現できないこと」にフラストレーションが溜まっていて……。そのあたりに「もっと自由に表現できたらいいのに」と考えていました。

それで当時、原宿のギャラリーで展示をしたんですが、向かいに「デザインフェスタギャラリー」があったんです。

合い言葉は“アートはみんなのもの”、デザインフェスタ運営が語る「出展者と参加者への思い」とは原宿のデザインフェスタギャラリー

デザインフェスタギャラリーもデザフェスと同じで「表現している全ての人のための開かれた場所をつくる」というコンセプトで運営されていて「これは素晴らしいな」と思い、入社を決めました。

――そうだったんですね。主催者側が「アーティストとして作り手の苦しみを理解している」ということが素晴らしいなぁ、と。出展者としても、すごく信頼できると思います。

それでいうと、私以外にもデザインフェスタ有限会社のスタッフは、みんな何かしら創作をしているんですよ。だからもちろん、作品を観るのも好きで、デザフェス当日も会場巡回の時間にブースを回っています(笑)。あ、もちろんトラブルがないかチェックをしつつ……。

――そうなんですか。なんて良い仕事場なんだ。

ほんと、良い職場です(笑)。ちなみにデザインフェスタ有限会社のオフィスは、誰でも自由に訪問していただけます。昔からデザフェスに作品を出している方などは「おつかれさま~」なんて、ふらっとオフィスに来て「次はこんな作品を出そうと思ってるんだけどさ~」なんて雑談をして帰る方もいらっしゃいますね(笑)。

デザインフェスタギャラリーに併設されているので、どなたでも気軽にいらっしゃってください。

「今後は10万人規模を目指したい」コロナ禍を通過して史上最大規模での開催へ

合い言葉は“アートはみんなのもの”、デザインフェスタ運営が語る「出展者と参加者への思い」とは会場にはキッチンカーも登場する

――では、今回のVol.55についてお話しを伺えればと思います。「誰でも自由に表現できる」というデザフェスですが、コロナ禍だったVol.53では規模を縮小して開催されました。

そうですね。青梅展示場のほうで開催しました。

――時勢的に葛藤もあったと思いますが、いかがでしょう。

もちろん開催するかどうかは、最後の最後まで悩んでいましたね。

ただ、コロナ禍は「表現の場」自体がなくなってしまい、アーティストの方々も苦しんでいたと思うんです。こうした表現欲求を守るためにも、開催を決断した、という背景があります。

――確かにコロナ禍はオンラインのアートイベントなどが流行しましたが、オフラインのイベントは一気に減った印象ですね。表現の場自体がかなり少なくなったというか。

その通りだと思います。アーティストの方々もなかなか表現できなくて辛かったと思うんですよね。ですので、Vol.53の際には「開催してくれてありがとう」という声が多かったですね。

――なるほど。

新型コロナウイルスの際の「新しい生活様式」はアーティストの感性も変えたんじゃないか、と思っているんです。私もコロナ禍にコラージュを作っていましたが、不思議なことに作品の特性が変わってくるんですよ。無意識に寒色系の色を選んでいたり……。だからコロナを経て、アーティストの感性が変化している、ということもあると思いますね。

――めちゃめちゃ興味深いです。今回のVol.55ではそういった変化の点も注目ですね。 

そうですね。参加者の方々は皆さん、ファンがいると思うんですが「コロナを踏まえてどう作風が変化したのか」という点もおもしろく観られると思います。実際にブースで聞いてみるのも楽しいでしょうね。

――さらにいうと今回はデザフェス28年の歴史のなかで「史上最大規模」ということで、具体的にどのくらい規模が拡大するのかを教えていただいてもいいですか。

毎回、東京ビッグサイトの「西展示棟」を使用させていただいているんですけど、今回は「南展示棟」にも出展ブースを広げました。約20k㎡分のスペースが追加になっています。

――20k㎡も広がるのはすごいですね。思い切った決断だと思うんですが、これはいつごろから考えられていたんですか?

新型コロナウイルスが蔓延する前から構想はありました。実は2020年開催のVol.50の際にはすでに南展示場の1フロアだけ広げて開催していたんですよね。今回は2フロアをお借りして開催します。

――なるほど。前から考えていたものの、コロナ禍になって状況的に規模拡大が難しくなってしまった……。

そうですね。今、ありがたいことにデザフェスは6万人の方々に来ていただけるアートイベントになったんですが、今後は10万人規模の方々に来ていただけるイベントにしたい。そのためにはスペースを広げる必要があるよね、ということで南展示場もお借りすることにしました。

パフォーマンスステージが増えるのが大きな変化ですね。今までは西展示場の1階中央のショーステージと屋上のフードスペースのステージしかなかったんですが、南展示場にもパフォーマンスエリアを増やしました。

出展者と来場者に伝えたいデザフェス運営者としてのメッセージ

合い言葉は“アートはみんなのもの”、デザインフェスタ運営が語る「出展者と参加者への思い」とは

――あらためて、今日お話をお伺いして「アートは自由だ」という強い気持ちを感じました。はじめて出展する方は「申し込もうかな……どうしようかな、ちょっと恥ずいな」みたいに迷っている方もいると思うんです。こうした方にメッセージをいただいてもいいですか?

そうですね……。「自分の作品が評価を受けるのが怖い」という気持ちで迷われている方もいると思います。ただここまでお伝えしてきた通り、デザインフェスタは「自由」に尽きます。「自分が良いと思うもの」を、気持ちに正直になって出展していただければと思いますね。

ブースを通しての交流もあって、たくさんの人の声をもらえる場だと思います。他人の目を通すことで、自分では気づかない部分を見てもらって、新しいアイディアが生まれることもあるはずですね。すると作品の幅が広がることもあると思うんですよね。

まだ一部のブースに空きがありますので、迷っている方は、ぜひお申込みください。

――「自分に正直に」という部分にとても共感しました。他人の声は気にせず、とにかく表現欲求のままに発表してみる、ということは大切ですよね。では、当日に来場する方々に向けてメッセージをお願いします。

デザインフェスタは「アートイベント」と銘打っていますが、決して「難しくてハードルが高いイベント」ではありません。パフォーマンスなどもありますので、アートに興味がない方でも気軽に楽しめるイベントです。

それと、アーティストとの交流を楽しめる点もおもしろいと思います。昨今は人との交流が少なくなってきているからこそ、表現のぬくもりや人間味を楽しんでいただけたら、と思います。

【デザインフェスタ公式HP】
https://designfesta.com/

【デザインフェスタオフィシャルTwitter】
https://twitter.com/designfesta

ジュウ・ショ

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アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。

アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。