EVENT
2021.11.26
会場の雰囲気は?楽しむコツは?デザインフェスタvol.54徹底レポート!
ようやく自粛ムードも明けつつある2021年11月13日(土)・14日(日)、東京ビッグサイトにてアジア最大級のアートイベント「デザインフェスタvol.54」が開催されました。
実際に私も参加してきたのですが、いや~会場中が熱気を帯びていて、めちゃめちゃ楽しかった。「『自由に表現できる場』を提供する」という理念の通り、みんなとてもフリーダムな作品を即売していました。
今回は普段から取材関係なく、毎回遊びにきている私が、いちファンとしてデザインフェスタ vol.54の現場での様子をレポートします。
会場に入った瞬間の「アートは自由」という感覚
デザインフェスタの最寄り駅はりんかい線・国際展示場駅か、ゆりかもめ・東京ビッグサイト駅です。私は毎回りんかい線なのですが、もうデザフェス当日は電車内から楽しい。というのも、確実に個性的なファッションの方が多い気がするんです。喋りかけたりしないですよ?しないですけど「あぁ~、あなたもデザフェスですか~」みたいな。オタク特有の「共通の趣味を持つ人、無条件で親近感湧いちゃう症候群」が出るんですね。
そんなこんなで下車しまして会場ちょっと前に東京ビッグサイトに到着。さすがアジア最大級のアートイベント、会場20分前から既に長蛇の列ができていました。年齢層は本当に広いです。若者から、おじいちゃんおばあちゃんまで参加しています。
会場に入ると、まずはエスカレーターで1階に降りてから回るのが王道ルートだと思うのですが、毎回このエスカレーターから見下ろす景色で「おいおいなんだこの最高なイベントは」と思います。
なんというか、一瞬、真顔になって笑顔になるみたいな。あの、小さい子がはじめてディズニーランドにきたときみたい顔になります。三十路のおっさんですら、こんな表情になるのデザインフェスタです。
向こうに見えるエスカレーターを下って会場入りするような感じです。中央にパフォーマーの舞台があり、その周りでライブペインティングや販売ブースがある様を俯瞰しながら「ものづくりっていいなぁ」という気持ちになりながら、1階に降りていきます。
ここからどう回るかは完全に各々の自由ですが、個人的にはエスカレーターを降りて左に曲がり、絵筆を付けてすぐのライブペインティングや、ここでしか買えない小物類を見ながらゆっくり回ります。
めちゃめちゃかわいいオリジナルキャラクターの商品にほっこりしたり、精密なアクセサリーをじっくり見たり、ちょっとホラーなマスクやフィギュアに「怖良いなこれ」と造語を呟いたりと、本当に多種多様な作品、商品が並んでいるのが特徴。本当にいい意味で「カオス」なのがデザフェスです。
サイバーチックでおしゃれなデザインの服が売られていたり……
おもちゃ箱をひっくり返したようなファンシーな小物があったり……
謎解き絵本のお店があったり……
絵と歌で思いきり自分を表現していたり……
超大作の粘土彫刻があったり……
怖良いマスクがあったり……
誰もが男の子に戻れる巨大武器が展示されていたり……
自宅警備員が派遣されていたり……
見たことないオリジナルアーケードゲームがあったり……
500年後のサラリーマンがにこにこしながら歩き回っていたり……
やたら肩幅が広い肩幅ヒロシさんがいたり……
数人のおじさんが亀の子たわしを散歩させていたり……
とにかくカオスティックで自由な空間がデザフェスならではの魅力です。ないもんね。普段生きてて、亀の子たわしを散歩させてるおじさんに出会うことって。
気になる作家さんには勇気をもって話しかけてみるのがおすすめ
デザフェスは対面での販売がほとんどです。気になる作品があったら「これください」と話しかけるのが通常の流れになります。その際に気になることを質問してみるのも楽しみの1つ。今回は取材だったので職権乱用して「アイディアの源」や「作り手になったきっかけ」なんか伺わせていただきましたが、多くの作家さんが「お客さんがコミュニケーションを取ってくれるのが嬉しい」とおっしゃっていました。
なかには「話すのが苦手でNG」という方もいらっしゃいますが、個人的にはそこが「萌えポイント」だったりします。ゴッホしかりムンクしかり。アーティストは元来自分のからの中に閉じこもる陰キャですからね。
ライブペインティングをしている方は、創作中はなかなか話しかけられないですが、皆さん休憩時間を設けているので、その間だったらかなり自由にお話ができます。
「なんでこの作品を作ろうと思ったんだろう」と感じたら素直に「なんでこれ作ろうと思ったんですか?」なんて聞いてみましょう。オンラインでの購買がメインの令和だからこそ、こうした対面での販売が楽しいんです。作品を通して作家のファンになり、作家を通して作品のファンになる……。そんなサイクルを繰り返している間に、あなたはいつの間にか“デザフェス沼”にハマっていくに違いありません。
アンデパンダン展の火を灯してくれるデザインフェスタに乾杯
さて、そんなこんなですっかり満喫したころには日も暮れて、東京ビッグサイトはプロジェクションマッピングが流れていました。これはデザインフェスタとは直接関係ないけど、とってもキレイでした。
帰りの電車内で余韻に浸りながらぼんやり考えていたのですが、デザインフェスタがこんなにも多くの方に愛され続けるのは、やっぱり「無審査・自由出品」というのが大きいのだと思います。
こうした無審査・無賞、自由出品の展示会を美術用語では「アンデパンダン展」といい、1884年にフランスはじめて開かれました。そのころのフランスでは、長年「きちんと教科書通りの絵を描かんと評価しまへんで」という閉塞的な慣習があったんです。それがマネやモネといった印象派や、ゴッホやセザンヌなどの後期印象派の時代に「アートにルールなんかねぇだろ」という風潮になり、アンデパンダン展につながりました。
デザインフェスタに来ると「アートに正解なんぞない」という当たり前のことを再発見できる気がします。それは創作好きなら誰もが失っちゃいけないものだし、だからこそ「デザインフェスタでしか手に入らないもの」があるのでしょう。
次回のデザインフェスタは2022年5月21日(土)、22日(日)。まだ参加したことがない方は、ぜひ「ここでしか手に入らないもの」をさがしてみてはいかがでしょうか。
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アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。
アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。
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