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LIFE

2022.6.17

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」

京都府亀岡市にある1955年創業の老舗旅館「すみや亀峰菴(きほうあん)」のロビーと客室が、大規模なリノベーションを行い生まれ変わりました。

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」

世界的に活躍する現代アーティスト・柳幸典(やなぎゆきのり)を筆頭に、地元の伝統工芸の職人、建築家とコラボレーションして作り出した素敵な空間をご紹介します。

世界的に活躍する現代アーティスト・柳幸典とは?

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」Photo by Hideyo Fukuda

柳幸典氏は、日本を代表する現代アーティストです。

1993年、第45回ヴェネチア・ビエンナーレに選ばれ、アペルト部門(※編集部注:若手作家を紹介する部門)を日本人で初めて受賞。

以後ニューヨークにスタジオを構え、1996年サンパウロ・ビエンナーレ (ブラジル) 、1997年ビエンナーレ・ド・リヨン (フランス) など多くの国際展に招待されました。

2000年のホイットニー・バイアニュアルでは、ニューヨーク在住の作家として外国人で初めて選出されるなど国際的評価も高いアーティストです。

2008年には、明治の近代産業遺構と昭和の三島由紀夫のメッセージに、自然エネルギーの技術を融合させた美術館「犬島精錬所美術館」を瀬戸内海の犬島に完成させたことでも知られています。

柳氏は、デビュー以来ラディカルなテーマで、変幻自在の作品で表現し、世界のアート界を揺さぶりつづけています。

ニューヨーク近代美術館やイギリスのテート・ギャラリーなど多くの美術館に作品が収蔵されており、ユーモアと社会性を帯びた挑発的な内容は常に物議を醸し、その創作行動は美術の枠に収まりません。

現代アートとのコラボレーション

老舗旅館「すみや亀峰菴」をまるで 一つの作品とし、現代アートと伝統の技が織りなす稀有な空間が誕生!

そんなロビー&ギャラリー「百代」と アートルーム「呼風( こふう)」をご紹介します。

造形的・建築的センスが光るロビー&ギャラリー「百代」

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」《Study for Japanese Art -Hokusai-》

足を踏み入れてすぐ目に入るエントランスには、柳氏とのコラボレーションの象徴として、国旗や紙幣などの砂絵を蟻に掘り崩させる「アント・ファーム」シリーズのひとつで、葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》を引用した作品《Study for Japanese Art -Hokusai-》が展示。

歩を進めてロビー&ギャラリー「百代」 に移ると、戦艦長門のプラモデルのパーツを70倍に拡大し、鉄の鋳物として制作した立体作品《Nagato70・I-II》と設計図、ビキニ環礁に沈む実際の長門を自ら撮影した写真作品《Nagato Blue - (propeller)》がご覧になれます。

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」ロビー&ギャラリー「百代」展示風景

柳氏は、ある種の“偽物”でもあるプラモデルを用いて、長門の「過去」と目にした「現在」を再構築し、来客者は「旅館に長門がある…」という事実に、「歴史として刻まれない」過去の時間と向き合わされます。

一見すると国家の操作によって生まれた歴史への風刺にも見えますが、戦艦と共に沈んでしまった過去、そして自分で経験したことのない過去との関わり方を提示し、今という時代を映し出しています。

旅館に新たな風が吹き込まれた空間 アートルーム「呼風(こふう)」

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」ダイニングルーム「地の間」、《菊と刀》の「刀」

140平米におよぶ広い客室であるアートルーム「呼風」には、現代美術家・柳氏とともに、左官職人・久住章氏、陶芸家・石井直人氏、和紙職人・ハタノワタル氏、帯匠・山口源兵衛氏など、京都在住の日本屈指の職人たちが携わっています。

柳氏の代名詞とも言えるトンネルを模した廊下《イカロスの回廊》をはじめ、寝室である「天の間」では「すき」「きらい」という言葉が添えられ花占いをテーマにした《菊と刀》の「菊」や、虹が出現する露天風呂《天の風呂》。一方ダイニングルームである「地の間」では日本国憲法第九条が彫り込まれている軍刀を使った《菊と刀》の「刀」が展示されています。

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」虹が出現する露天風呂《天の風呂》

アートと一体となった非日常空間を体験できる「呼風」 に宿泊し、ここでしか観られない現代アートと伝統の技の協働が織りなす特別な空間をゆっくり堪能しながら、作品と対峙して思いを巡らせることを愉しんでみてください。

最後に…

現代アーティスト・柳幸典の手により生まれ変わった老舗旅館「すみや亀峰菴」

京都府亀岡市に位置する老舗旅館「すみや亀峰菴」は、露天風呂付客室と四季折々の料理が自慢の湯の花温泉を代表する旅館です。

京の料理人が守る技と丹精込めて作り上げる味が楽しめるレストランでは、地元オーストリアのワイナリーも認めるオーストリアワインが飲めるだけでなく、朝どれの京野菜で調理された京料理が食べられます。

ぜひ、癒やしとアートが堪能できる「すみや亀峰菴」に足を運んでみてください。

取材・撮影・文:新麻記子

『すみや亀峰菴(きほうあん)』
アートルーム「呼風」
定員:2〜5名
料金(1名):1泊2食 11万円〜(オープン記念価格7万7000円〜)
予約:https://reserve.489ban.net/client/sumiya/0/detail/509683


Art Gallery 百代
公式サイト:https://hakutai.sumiya.ne.jp/
設計:Yanagi + Art Base、YAGI K. DESIGN LAB(広島大学 大学院人間社会科学研究科デザイン研究室)

新 麻記子

新 麻記子

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アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。

アート・カルチャーの架け橋になりたい。やれることならなんでもやるフリーランス。日々の暮らしを豊かにしてくれるアート・カルチャー系記事の執筆業以外に、作詞家、仲介・紹介業、対話型鑑賞会のナビゲーター、アート・映像ディレクターとして活動中。