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2023.5.1

【5月のおすすめ展覧会5選】吹きガラスからベルギーと日本、それに石黒亜矢子展まで

ゴールデンウィークがやってきました! 今年は遠くの観光地へ旅行したり、近場の美術館を巡るなど、外出を計画されている方が多いかもしれません。またせっかくのお休みの期間、美術館でのゆったりとした時間を楽しみたいところです。

そこで今月はゴールデンウィーク中でも開催されている展覧会を中心に、日本美術から西洋美術などおすすめの5展をご紹介します。

職人たちが創り出す、美と技の融合。サントリー美術館で愛でる「吹きガラス」の名品

高温の炉で熔かしたガラスを、口や金属の筒を使って吹き上げて作る吹きガラス。職人らがひとつひとつ手作業で行う吹きガラス製品は、手作りならではの温かみと個性が見られるとともに、ガラスの繊細さを生かした美しいデザインによって多くの人々を魅了してきました。そして紀元前1世紀中頃、ローマ帝国下に起源をさかのぼる吹きガラスは、長い歴史のもと、それぞれの地域で独自の発展を遂げ、文化的価値を持つものとして現在へと至っています。

サントリー美術館にて開かれている『吹きガラス 妙なるかたち、技の妙』は、作り手の「技」に注目しながら、古今東西の特色ある吹きガラス作品を展示。古代ローマから16~19世紀にかけてヴェネチアと周辺地域、また中国といった東アジアから日本の江戸時代、さらには近代の産業としての吹きガラスなどを見ることができます。加えて吹きガラスをアートに昇華させた新進気鋭の若手作家の作品も見どころとなります。

詳細記事はこちら

『吹きガラス 妙なるかたち、技の妙』 サントリー美術館
開催期間:2023年4月22日(土)~6月25日(日)
※会期中展示替えあり
所在地:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
アクセス:都営大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結
開館時間:10:00~18:00(金・土は20:00まで)
 ※5月2日(火)~4日(木・祝)は20時まで開館
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日 ※5月2日は20時まで、6月20日は18時まで開館
観覧料:一般1500円、高校・大学生1000円、中学生以下無料
https://www.suntory.co.jp/sma/

日本におけるベルギー美術の受容とは?目黒区美術館にて展覧会が開催!

1987年に開館し、緑豊かな目黒区民センターの一角に建つ目黒区美術館。これまでに近現代の日本の作家による美術作品を収集してきたほか、独自の切り口によるユニークな企画展を開催するなど、美術ファンからも注目を集めています。その目黒区美術館には戦前の日本人画家の欧米への留学中の作品もコレクションしていて、当時、ベルギーに留学し、同地で印象派の画家として活動していたエミール・クラウスのもとに学んだ太田喜二郎(1883〜1951年)の作品も所蔵しました。

目黒区美術館の『ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる』では、パリ留学が主流であった中において太田と同様、ベルギーへ留学した画家の児島虎次郎(1881〜1929年)と彫刻家の武石弘三郎(1877〜1963年)の3名の芸術家に着目。さらに戦前の日本で「炭坑夫の彫刻家」として人気のあったベルギーの彫刻家、コンスタンタン・ムーニエや、現代でも知名度の高い画家ルネ・マグリットなどの作品を通し、日本におけるベルギー美術の受容について探っていきます。

『ベルギーと日本 光をえがき、命をかたどる』 目黒区美術館
開催期間:2023年4月29日(土)~6月18日(日)
所在地:東京都目黒区目黒2-4-36 目黒区民センター敷地内
アクセス:JR線・東京メトロ南北線・都営三田線・東急目黒線目黒駅より徒歩約10分
開館時間:10:00~18:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日
料金:大人800円、大高生・65歳以上600円、中学生以下無料
https://mmat.jp/

25年を彩る日本美術の至宝たち。京都・細見美術館の名品が東京・日本橋の高島屋にて公開!

25年を彩る日本美術の至宝たち。京都・細見美術館の名品が東京・日本橋の高島屋にて公開!

実業家で日本美術コレクター、細見古香庵(1901〜79年)にはじまる細見家三代の蒐集品を基礎として、1998年に京都・岡崎の地に開館した細見美術館。神道や仏教美術、また茶の湯の美術に琳派や伊藤若冲といった江戸絵画など、日本美術のほぼすべての分野や時代を網羅するコレクションとして知られ、過去の展覧会などで広く人々に親しまれてきました。京町家をイメージしつつ、モダンを取り入れた美術館建築をはじめ、茶室や併設のカフェでも人気を集めています。

その細見美術館のコレクションが東京・日本橋の高島屋へとやって来ました。『開館25周年記念展 京都 細見美術館の名品―琳派、若冲、ときめきの日本美術―』では、「祈りのかたち」、「数寄の心」、「華やぎのとき」、「琳派への憧れ」、「若冲のちから」をテーマに、飛鳥時代から江戸時代までの約100点の作品を公開します。とりわけ俵屋宗達や酒井抱一、鈴木其一といった琳派はもとより、大人気の絵師、伊藤若冲の名品を約20点もまとめて楽しめる絶好の機会となります。

『開館25周年記念展 京都 細見美術館の名品―琳派、若冲、ときめきの日本美術―』 日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール
開催期間:2023年4月26日(水)~5月15日(月)
所在地:東京都中央区日本橋2-4-1
アクセス:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅直結。JR線東京駅八重洲北口から徒歩5分
開館時間:10:30~19:30
 ※入場は閉場の30分前まで
 ※最終日は18時閉場
休館日:会期中無休
料金:一般1200円、大学・高校生1000円、中学生以下無料
https://www.takashimaya.co.jp/store/special/hosomi25_tokimeki/index.html

石黒亜矢子のファンタジーが、あなたを魅了する。初の大規模個展が世田谷文学館にて開催

化け猫や妖怪といった想像上の生き物を流麗な筆致で描く石黒亜矢子(1973年、千葉県生まれ)。近年は国内外にて個展を開くほか、『ばけねこぞろぞろ』や『いもうとかいぎ』といった絵本をはじめ、2016年には画集『石黒亜矢子作品集』も出版し、『豆腐小僧双六道中ふりだし』(京極夏彦著)の挿画も手がけるなど幅広く活動しています。愛らしくもユーモアたっぷりでありながら、少し不気味な表情した生き物たちに魅せられている方も多いかもしれません。

その石黒の初めての大規模個展である『石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ』が、世田谷文学館にてスタート。会場では最初期の妖怪絵をはじめ、『えとえとがっせん』や『ねこまたごよみ』といった絵本原画を中心に、描きおろしの新作約20点を含む500点あまりを展示し、石黒の描く魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するあやかしの世界を展開します。ぬいぐるみ作家・今井昌代との特別展示、雅太郎玩具店による『いもうとかいぎ』モチーフの新作にも注目が集まります。

『石黒亜矢子展 ばけものぞろぞろ ばけねこぞろぞろ』 世田谷文学館
開催期間:2023年4月29日(土・祝)~9月3日(日)
所在地:東京都世田谷区南烏山1-10-10
アクセス:京王線芦花公園駅南口から徒歩5分
開館時間:10:00~18:00
 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月17日は開館し、翌日休館)
料金:一般1000円、65歳以上・大学・高校生600円、小・中学生300円
https://www.setabun.or.jp/

【山種美術館】かつてないスケールでたどる小林古径と速水御舟の創作の軌跡

ともに近代日本画の歴史に大きな足跡を残した小林古径(1883〜1957年)と速水御舟(1894〜1935年)。11歳違いの彼らは、互いに歴史画と人物画より画業をスタートさせ、1914(大正3)年に再興された院展でも活躍すると、大正時代半ば以降、細密描写による写実へと同時期に作風を変化させます。この後、それぞれの渡欧体験を経て、独自の表現へと達しますが、ふたりとも実業家・原三渓から支援を受けるなど、画業にはいくつかの共通点も存在していました。

お互いに敬意を持って交流し、切磋琢磨していた古径と御舟…。その両者の軌跡を明らかにするのが、山種美術館にて開かれる『小林古径 生誕140周年記念 小林古径と速水御舟—画壇を揺るがした二人の天才—』です。展示では古径の代表作である『極楽井』や『出湯』、また『清姫』をはじめ、御舟の傑作『炎舞』や『翠苔緑芝』などを初期から晩年までの名品の数々を公開し、交流や画業の変遷をたどります。古径と御舟の名品を比較して展示する、かつてないスケールの展覧会となります。

『小林古径 生誕140周年記念 小林古径と速水御舟—画壇を揺るがした二人の天才—』 山種美術館
開催期間:2023年5月20日(土)~7月17日(月・祝)
所在地:東京都渋谷区広尾3-12-36
アクセス:JR線恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口より徒歩約10分。渋谷駅東口ターミナルより日赤医療センター前行都バス(学03番)に乗車し、「東4丁目」下車徒歩2分
開館時間:9:00~17:00
 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日。ただし7月17日(月・祝)は開館
観覧料:一般1400円、大学生・高校生1100円、中学生以下無料
※きもの特典:きもので来館すると、一般200円引
https://www.yamatane-museum.jp

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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