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2023.7.21

ポスト印象派の絵画が息づく没入型のアート体験!『Immersive Museum TOKYO 2023』の見どころレポート。

アート体験を拡張する「アート2.0」として話題の新感覚体験型アートエキシビション『Immersive Museum』。昨年、東京にて開催された『Immersive Museum “印象派” IMPRESSIONISM』では20万人以上を動員するなど大きな反響を呼びました。

『Immersive Museum TOKYO 2023 “ポスト印象派” POST IMPRESSIONISM』展示風景

その第2弾として2023年7月7日(金)~10月29日(日)に『Immersive Museum TOKYO 2023 “ポスト印象派” POST-IMPRESSIONISM』が東京日本橋の日本橋三井ホールにて開催されています。見どころをご紹介します。

キーワードは没入感。『Immersive Museum』のスケールや魅力とは?

SCENE3「スーラの点描画」

『Immersive Museum』について改めておさらいしておきましょう。『Immersive Museum』とは近年、演劇やアート、エンターテインメントのジャンルで世界的なトレンドとなっている「Immersive=没入感」をキーワードとする、かつてないアート体験プログラムです。

迫力満点の音響効果と壁や床のすべてに投影される没入映像を組み合わせ、広大な屋内空間に名画の世界を再現。その中を自由に歩き回りながら、視覚による端的な「見る」や「鑑賞する」といった行為を超え、全身で名画の中へと入り込んだような感覚を味わうことができます。

SCENE5「ピサロとセザンヌ」

会場の高さは実に約6メートル。広さも野球のダイヤモンド(各塁間をつなぐ線)に近い約700平方メートルにも及ぶというから、大変なスケールではないでしょうか。

技法や作風に着目して映像化。『Immersive Museum』で見極めたいそれぞれの画家の個性。

SCENE1「ポスト印象派」

今回登場するポスト印象派の作品は約80点。特に重視して取り上げられるのは、ジョルジュ・スーラにポール・セザンヌ、そしてポール・ゴーガンにフィンセント・ファン・ゴッホの作品です。

SCENE2「最後の印象派展」

まずオープニング映像に続いて登場するのが、1886年に行われた第8回印象派展です。同展は初めて新印象派と印象派の作品が展示されたものの、結果的に最後の印象派展となりましたが、そこへ出品された絵画が原寸大にて投影されます。

色彩が粒のようになって床から壁へと広がっていきます。作家たちの「技法を体験できる」表現も魅力です。

すると絵画を構成していた色彩が粒のように細かく解体し、うねるようにして空間全体へと広がると、いつしか再び結集してジョルジュ・スーラの傑作『グランド・ジャット島の日曜日の午後』が映し出されます。

SCENE3「スーラの点描画」

スーラは絵の具を混ぜずに細かい筆致を重ねていった印象派の手法を推し進め、筆のタッチを「点」にまで突き詰めた画家でした。画家の独特の技法や作風に着目して映像化することで、画家の個性を感じることができる仕組みです。

SCENE4「スーラとシニャック」

またスーラと亡くなった後、点描を引き継いだシニャックの作品も登場します。ふたりの絵画を左右の二分割の画面を通して見比べることも可能です。このスーラとシニャック、ピサロとセザンヌ、そしてゴーガンとゴッホなど、それぞれの画家の関係性を浮かび上がらせるような構成も見どころといえるでしょう。

『ひまわり』や『星月夜』も登場。ゴッホが絵画に込められた激しい情感を感じたい。

SCENE7「ゴーガンの総合主義」

セザンヌからゴーガン、ゴッホへ。次第に映像と音楽は熱を帯びるようにスピーディーに展開していきます。ゴーガンは明快な造形と目に見えるものと画家の内面を共存させる「総合主義」を唱えた画家。晩年の超大作『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』が空間全体に映し出される光景は圧巻の一言です。

SCENE8「ゴーガンとゴッホ」

このゴーガンと南仏アルルで共同生活を送っていたのがゴッホでした。有名な耳切り事件にて生活はあっけなく幕を閉じますが、ゴーガンとゴッホの肖像画が左右に並ぶシーンからは、ふたりの間にあった緊張感も想像できるのではないでしょうか。

SCENE9「ゴッホ、感情の絵画」

ハイライトはゴッホの『ひまわり』や『星月夜』のシーンといえるかもしれません。『星月夜』には黄色い星や渦巻く夜景、うねる糸杉などが極めて激しいタッチにて描かれていますが、そうしたゴッホの絵画に込めた激しい情感までもが映像や音楽を通してひしひしと感じられるのです。

クッションに寝そべりながら鑑賞するのもOK。AIゴッホによるオリジナルな肖像画もゲットしよう!

SCENE9「ゴッホ、感情の絵画」

ポスト印象派の名画のタッチや色彩を解体し、音楽とともに空間全体へと再構築していく『Immersive Museum』。鑑賞方法は基本的に自由です。真ん中に立って全体を見渡すのも楽しいですが、クッションに寝そべりながら流れゆく映像に身を委ねるのも良いかもしれません。もちろんスマホなどで撮影をすることもできます。(フラッシュの使用、三脚の持ち込みは不可。)

「Your Portrait by Vincent van Gogh」体験コーナー

今回の『Immersive Museum』では新たに「Your Portrait by Vincent van Gogh」が登場。白いキャンバスの前に座ると、通称、AIゴッホが鼻歌を歌いながら筆を動かし、時折うなりながら肖像画を描いてくれます。

「Your Portrait by Vincent van Gogh」より。

左の白いキャンバスに肖像画が描かれていきます。なおついついAIゴッホの方を向いてしまいがちですが、着席したら白いキャンバスの下の方をまっすぐ前に見据え、じっと動かずにポーズをとりましょう。

ゴッホ作品のデータを学び、色や筆触も再現したAIゴッホが描く肖像画はあなただけのオリジナルです。完成した作品はQRコードでダウンロードして持ち帰りましょう。(体験料は1回500円)

『Immersive Museum』SOUVENIR SHOP

さらにポスト印象派の技法を『Immersive Museum』を通して学ぶことができる雑誌VERYと共同開発の「絵本キット」を小学生以下の来場者全員にプレゼント。おうちに帰って『Immersive Museum』での思い出を親子で話しながら、絵をじっくり学ぶのも良いのではないでしょうか。

SCENE10「ポスト印象派の肖像」

このほか、公式アンバサダーである日向坂46の影山優佳さんによる、館内限定のオーディオガイドを提供。手持ちのスマートフォンから専用アプリをダウンロードして楽しむこともできます。

SCENE9「ゴッホ、感情の絵画」

昨年からさらにスケールアップした『Immersive Museum TOKYO 2023 “ポスト印象派” POST IMPRESSIONISM』で、新たなアートへの没入体験を味わってみてください。

展示会情報

『Immersive Museum TOKYO 2023 “ポスト印象派” POST IMPRESSIONISM』 日本橋三井ホール
開催期間:2023年7月7日(金)~10月29日(日)
所在地:東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1-4階
アクセス:東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅直結。JR線東京駅日本橋口から徒歩9分。
開館時間:10:00~20:00(平日)、9:00〜20:00(土日祝)
 ※19:20最終入場
会期中無休。
観覧料:一般2500円、大学・専門学生1800円、高校・中学生1500円、小学生以下無料。
公式サイト:『Immersive Museum TOKYO 2023 “ポスト印象派” POST IMPRESSIONISM 』

【写真17枚】ポスト印象派の絵画が息づく没入型のアート体験!『Immersive Museum TOKYO 2023』の見どころレポート。 を詳しく見る
はろるど

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千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

千葉県在住。美術ブログ「はろるど」管理人。主に都内の美術館や博物館に出かけては、日々、展覧会の感想をブログに書いています。過去に「いまトピ」や「楽活」などへ寄稿。雑誌「pen」オンラインのアートニュースの一部を担当しています。

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