EVENT
2022.5.27
デザインフェスタVol.55を徹底レポート!「コロナ前が戻ってきた感覚」を覚えた史上最大規模でのお祭り
2022年5月21日、22日にデザインフェスタVol.55が開催されました。
運営者へのインタビュー記事でも紹介しましたが、今回の目玉は「史上最大規模」。これまでは東京ビッグサイトの西展示棟のみでしたが、南展示棟の1、2階までガッツリ使って開催されました。
▼運営者へのインタビュー記事
https://irohani.art/interview/7536/
総面積は約5万7,280㎡。東京ドーム1.2個分。畳でいうと3万5,358枚分。テニスコートでいうと220面分。サッカー場でいうと約7面分。とにかく、まぁ広大な敷地にクリエイターのブースがずらーっと並んでおり、みんなホクホク顔でお目当ての作品も、お初の作品も買い漁るわけですね。このお祭り感がよい。
今回はそんなリニューアルして一発目の「デザインフェスタVol.55」をレポートします。
目次
土砂降りを10分で追い払うという奇跡を目撃
開場は11時。現地に到着したのが10時15分ごろだったのですが、電車は既にかなり混んでおり、降りると現地には既にたくさんの来場者が列をつくっています。この時点でちょっともう「お祭りが始まるぞい」とワクワクしている自分がいるわけです。
東京ビッグサイト最寄りの“ 激込みローソン”でお水を手にむちゃくちゃ長い会計列に並んでいたら、まさかの光熱費を払っている猛者を見つけたんです。「え、嘘、ここで? 自宅の最寄りでええやん」って、それだけなんですけど、ちょっとツボに入っちゃうくらい笑える。これはもうテンションが上がっている証拠です。楽しみすぎて、もうツボの浅さが中2レベルになっとるんですね。
ただ、当日はあいにくの雨……。しかもちょうどローソンから出た瞬間に、バケツっていうか、もう25mプールをひっくり返したような豪雨が降り出して「屋上のフードエリアは大丈夫か」と心配になりました。ホント、傘を差しても濡れるくらいの雨だったんですよ。
しかしそんな雨も、マジで3分くらいで小雨に、10分経つころには完全に上がるという、ちょっとした奇跡を目撃。「もう傘ささなくてもいいね~」なんて声を聞きながら、意気揚々と現場に入ったわけです。
「軽率に課金するわ」にうなずきながら会場へ
「お目当てのクリエイターのもとに急ぎたいけど、走っちゃいけない」という、微妙な競歩状態で入るお客さんを見て「コロナ前の空気感」を思い出しつつ、まずは西展示棟へ。エスカレーターで下りながら「〇〇さん、新作のTシャツ出してるらしいよ」「え、最高じゃん。軽率に課金するわマジで」という会話が聞こえてきます。最高かよ。
そう、これだけのクリエイターがいると魅力的な作品に出くわしまくる。そして“ お祭り感覚”から財布がゆるみまくる。気付いたら(おつりが出ないように崩した)何枚もの英世が家出している……というのはもう伝統芸能です。落語、歌舞伎、散財です。
1階まで降りると、開場から大盛り上がりで、あちらこちらでクリエイターの方と来場者が会話をしている様子がありました。最近、本当にこうしたオフラインでのコミュニケーションは失われつつあったので、なんだか見ているだけでほんのり嬉しくなりますね。
新設された南展示棟が大成功していた
そんな西展示棟を一通り見終わった後に今回のデザフェスの目玉である、南展示棟へ。
毎回通っている勢としては、とっても新鮮だったと思いますし、個人的には大成功だったんじゃないか、と思ったのが率直な印象です。
まずは新設されたパフォーマンスエリア。大道芸人やダンサー、アイドルなどの方々がパフォーマンスをしていました。
これは大道芸の方のお時間ですが、これだけの方が集まっていました。ちょっと前を通りがかった方も「え、なんかやってる」「やば、え、すごくない? ちょっと見ちゃうねコレ」って感じで足を止めていました。めちゃめちゃ盛り上がっていて、もう悲鳴と歓声が交互に響く、みたいな。最後はみんな拍手で、とても楽しい場所になっていた印象です。
アイドルのパフォーマンスも、すんごく元気で可愛らしくて、観ていて思わず頬がゆるむというか……。家族連れやご高齢の方などの「普段アイドルのライブにいかない方々」も振り付けを真似していて「なんて温かい場所なんだ」と思いましたね。なかなかないですよね。おばあちゃんが椅子に座って手拍子しながらアイドルを観ているってのは素敵な空間です。
これまでのパフォーマンスステージにはなかった距離の近さもあって「参加者がクリエイターを応援しているのが伝わる感覚」を感じました。
「すげぇいいな」と思いながら散策していると、ぱっと見「どういうこと?」ってなるこんな看板が。
観ての通り「ワンコインランウェイ」です。「500円で誰でもランウェイを歩ける」というデザフェスらしい取り組みが開催されていました。現場には南館の一角を取り囲むようにぐるーっとレッドカーペットが敷かれており、堂々と歩けるわけです。何も受賞してないのに……。「誰でも自由に」ってのがデザフェスらしいですよね。
そんなランウェイの中央には「カフェエリア」が新設されたのも、大きな変化。さまざまなお菓子屋さんが出展されていて、行列ができているブースもあり大賑わいでした。
これも嬉しい……。デザフェスは全ブースを回りきろうと思ったら、確実に5時間はかかります。5時間歩きっぱなしとなると、さすがに足にくる。気持ちは前のめりだけどふくらはぎが絶叫するという二律背反状態に陥るんですね。だからちょっと休んでティータイムできる場所ができたのは、すごくうれしい。
お写真もインタビューも快く受けてくださった出展者の皆さま
では、こっからは出展者の皆さまをずらっとご紹介させていただきます。いつも思うのですが、みなさまマジで優しい。急におっさんがやってきて「写真大丈夫ですか?」と言っても、快く「もちろんいいですよ」とおっしゃる。あらためてありがとうございました。
ただお名前をご紹介してしまうと「誰でも平等に自由にアートを楽しむ」というデザフェスならではのコンセプトに反してしまう気がしますので、あくまでお写真のみ掲載させていただきます。気になった読者の方は、ぜひSNSで探してみてください。
倒れた人に青年がかけた言葉がとても印象に残っている
そんなこんなでいろんな人とお話ししながら、作品を眺めては買い漁り、あまりのふわふわ幸せ感にAirpods proを現場でなくして帰宅したわけです。帰りの電車で「うわ、やったわこれ……」と思ったのですが、自宅に着いて戦利品を並べていたら、もうなんかそんなことより「楽しかった~」のコールド勝ちで、めでたしめでたしでした。
最後に印象的な出来事が起きたので紹介させてください。帰ろうとしていた15時ごろ、南展示棟から西展示棟に移動していたら、突然背後で「ばたん」と音がしたんです。「なにごと?」と思って振り返ると、男性警備員さんが倒れてしまい、自力で起き上がろうとしているところでした。それとほぼ同時に両手に大荷物を抱えた青年が「大丈夫ですか!」と駆け寄り、警備員さんも「大丈夫大丈夫」と制していたのですが、青年が運営スタッフを呼んで、すぐ対処してもらっていました。
その青年がスタッフと警備員さんに「こんなに素敵なイベントを支えてくれてありがとうございます」と声をかけていたんですね。ちょっと正直エピソードとして良すぎるんで「創作かおい(デザフェスだけに)」といわれそうなんですが、ガチです。
それを見て「アーティストが好きなものを好きに表現する。お客さんが好きなものを好きに買い集める。『好き』が溢れる現場はみんな心が豊かになるんだろうなぁ」と思った次第でした。つまりデザフェスの会場内は誰も無理していない。ただ単純に正直に「やりたいこと」だけと向き合っているわけです。
だから、なんというかみんな「ホクホク」してるんですよ。「はい今日は優勝」みたいな顔をしているんですね。そんな場が毎年2回、ちゃんと開催されていて、コロナを除いて年々多くの方が来場していて、Twitterのトレンドに上がってくるのは、なんだかとても安心します。
「作品に優劣などない」という“真実”を理解している展覧会
さて、次回のデザフェスは2022年11月、「行きたい」と思っている方はもちろん「異世界過ぎて怖いんちゃうか……」と不安な方も一度足を踏み入れてみてください。そして直感的に「好き」と思えるものを見つけてみてはいかがでしょうか。
また「出てみたいけど、緊張する」と思って二の足を踏んでいる方は「思い切って……」と意気込む必要もないと思います。ただ自分の表現したいものを、外部に発信するだけです。
「買ってくれなかったら自信失っちゃう」と思う必要なんてない。決して「よく売れるもの」が優れているわけではありません。作品には「好きか好きじゃないか」はあれども「優れているか劣っているか」という尺度はない。デザインフェスタはそのことをしっかりと理解している展覧会だと思います。ですので、ただ自分の気持ちに正直になって出品してみてください。
・DESIGN FESTA | デザインフェスタ オフィシャルサイト
https://designfesta.com/
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アート・カルチャーライター。サブカル系・アート系Webメディアの運営、美術館の専属ライターなどを経験。堅苦しく書かれがちなアートを「深くたのしく」伝えていきます。週刊女性PRIMEでも執筆中です。noteではマンガ、アニメ、文学、音楽なども紹介しています。
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