STUDY
2021.11.15
現代美術を楽しもう! 現代美術を代表するアーティスト5選と鑑賞方法
現代美術はなかなかとっつきにくいジャンルのアートですよね。どのように鑑賞すればいいのかわからない、と思っている方も多いのではないでしょうか。実は現代美術は楽しみ方がわかると、考察したり歴史と結びつけて見られたり、とても「ハマれる」アートのジャンルなのです。本記事では現代美術をシンプルに解説し、代表的なアーティストを紹介いたします。
目次
現代美術とは
Photo by Rowan Heuvel on Unsplash
現代美術(現代アート)とは主に1950年代以降の芸術を指します。「ポストモダンアート」や「コンテンポラリーアート」とも呼ばれ、戦後のアメリカを中心に広まっていったとされています。
厳密な定義ははっきりとは決まっていないのですが、代表的な作品の多くが「コンセプチュアルアート」に該当します。それまでの芸術は視覚的に美しいものや、技術、表現が優れたものが中心となっていましたが、現代美術は哲学的、理論的なコンセプトのあるものが評価される世界です。
制作方法は絵画や彫刻、写真、インスタレーション、映像、ミックスドメディア、パフォーマンスなど、なんでもありでとても自由です。絵画に至っても、スクリーンプリントやコラージュなどの表現を使った多彩な作品が増えました。
近年は映像やデジタル技術を使った作品も増え、デジタル作品がオークションで取引されることも一般的になりました。技術の進歩に合わせてアーティストが挑戦する表現の幅も広がるので、どんどん新しい表現方法が開発されています。
現代美術の代表的な作家
ジャクソン ポロック
ポロックは1950年代アメリカで活躍した現代美術アーティストの巨匠です。巨大なキャンバスに絵の具を垂らした抽象的なアプローチの絵画は、当時のアートの概念を塗り替えるような作品となりました。
アンディ ウォーホル
ウォーホルは芸術に大量生産の技術を取り入れ同じ作品を複数枚作ったり、写真やコラージュを活用した新しい表現やアートビジネスに挑戦したアーティストです。ビビッドな色で描かれるモチーフは人気女優マリリンモンローやインスタントスープの缶など、当時の「消費社会」を象徴するようなものでした。
ダミアン ハースト
ハーストは生存するアーティストで「一番稼いでいる作家」のひとりと言われています。中でも有名なのが、切断された動物の死体がホルマリン漬けになっている作品「Natural Historyシリーズ」。本物の動物を使ったこのアート作品は、美術界に賛否両論をもたらしました。彼なりの生死を描いた作品たちは、オークションで高値がつくことでも度々話題になっています。
日本を代表する現代美術作家
村上 隆
オークションでも大人気の世界的に有名な日本人作家です。日本のアニメからインスパイアを受けた作品は海外でも広く知られています。アニメ風のフィギュアを模した立体作品が2008年のサザビーズオークションで落札価格約16億円を記録し、業界での評価の高さが印象に残りました。彼自身カイカイキキという会社で、アーティストのマネジメントも行っているビジネスマンでもあります。最近ではいち早くNFT作品を販売したり、人気YouTuberとコラボをしたり、彼の新しい挑戦は各業界で様々な影響を与え続けています。
草間 弥生
水玉模様の絵画やポップで不気味な立体作品で人気の草間彌生も、海外の美術館の所有率が高い作家のひとり。1960年代にアメリカで活動していた数少ない日本人アーティストです。「クサマ・ハプニング」と呼ばれる過激なパフォーマンスを行うこともあり、「前衛の女王」の二つ名がついたことも。
現代美術の楽しみ方は自由!“推しアーティスト”を見つけてみよう
「現代美術はなにを言いたいのかわからない」「解釈が難しい」と思われますが、鑑賞方法に制限はないので、なんとなく「自分が好きかどうか」から始めてみてはいかがでしょうか。
気に入った作品があれば、本やインターネットで調べてみるのもおすすめです。その作家のバックグラウンドや考え方から作品の意図がわかることもあれば、評論家の考察を読んで「なるほど!」と思うこともあるでしょう。また、制作された時代の社会情勢と照らし合わせてみたり、オークションでの価格変動を追ってみたり、作品を取り巻く状況を知ると面白さはさらに増します。まずは興味のある分野から見方を鍛えて自分なりの解釈ができるようになると、現代美術をもっと楽しめるようになるはず。美術館やギャラリーでたくさんの作品を見て、自分の“推しアーティスト”を見つけてみてくださいね。
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のじまありさ
1988年北海道生まれボストン育ち。マサチューセッツ州美術大学卒業。ゲーム系制作会社、クリエイター就職支援サービス運営会社、写真画廊などを経てフリーランスとして活動中。趣味は深夜ラジオ。
1988年北海道生まれボストン育ち。マサチューセッツ州美術大学卒業。ゲーム系制作会社、クリエイター就職支援サービス運営会社、写真画廊などを経てフリーランスとして活動中。趣味は深夜ラジオ。
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